コミュニストはSEXがお上手?


 一昨日、試写会に招待していただき鑑賞。観たところはいまから20年前に職場だったところとちょうど道を挟んで真向かいの映画美学校。あんなに近くで何年か働いていたのに建物の中には入ったことはなかったので物珍しい。映画も非常に珍しいセックスを題材にしたドキュメンタリーの秀作。東西ドイツの統一で、いままで神秘のペールであった東ドイツのセックス事情が明らかに。しかも東ドイツの方がどうもセックスが偉くうまく、女性の満足度は異常に高く(オルガスム到達率85%)、しかもペニスも西よりも6mm長いという。これはどういった理由なのか? マルクス主義に即した社会的教育の成果なのか、はたまた経済的な制約が生み出したものなのか(女性の職場進出による騎上位かつ女性上位の交際慣習の成立など)、そもそも西ドイツの方がセックス市場が非効率的なのではないか、などなどいろんな角度から、東西ドイツのセックス事情を描いていて、時間も短いために偉くあっという間に観終えた印象。頂戴した資料にはガース柳下氏の「SEXをコミュニストから奪回せよ!」という文章があったが、いやコミュニストからの奪還というか、セックス市場への介入を、こんなにガース大帝が望んでおられるとは 笑)。

http://www.commusex.jp/(公式サイト)


 ところで男女ともに公営企業で働いていたわけで、その非効率的な労働時間の利用の反面で、セックス時間の機会費用がやたら低いのが、東ドイツのセックス上手の原因だったりして。つまり働くこともセックスすることもラーメン屋で行列を作っているのと同じ。暇(無駄)がないとできない。つまり社会主義が崩壊したのはセックスが上手になったからなんだよ、な、なんだってえぇ?!

 そして他方で、西ドイツの方は(非営利)セックスにかかる時間の機会費用が大きい。そのために機会費用の小さいセックス産業の成立余地が西ドイツでは生まれる、とか思ったりした*1。なかなか思考を刺激する映画である。


 しかしこれからはハリウッド大作は別に僕がわざわざ映画評もどきを書かなくてもいいから、こういった注目度がわりと低い、でもいい映画をここで紹介していくつもり。だから関係者の皆さん、田中を試写会にまた呼んでください 爆


 ところでT.コウェンがなぜ人はあんまりセックスしなくなるなど、わりとセックスと経済学関連のネタをまとめているので一括ご紹介。ここクリック

*1:不謹慎であるが、東ドイツでは営利セックス市場は成立していないためにアウタルキーになっていて、ひょっとしたら東ドイツ国民の厚生は営利セックス市場があれば改善されたかもしれない。例えば、性的な嗜好が多様なこと(例えば映画でも出てたSM、そして同性愛など)にどのくらい東ドイツの非営利セックス市場が対応していたかを考えてみてもいいかもしれない。もちろん非営利な範囲でフォローできる可能性もある。ボランティアセックスなど。映画の終りに東西ドイツが統一されてポルノショップなどに殺到する東ドイツ男性諸氏の映像やインタビューなども参考になる