ロバート・フランク『日常の疑問を経済学で考える』


 原書をすでに読んでいまして実はこうしてブログのエントリーを書いているパソコンの横にも鎮座しているほどの愛読書。今度の拙著やこのブログのアイドル経済学エントリーなどでも援用していた著作の翻訳がでていました。フランクの立場は、正統的な期待効用仮説に立脚した議論ではなく、感情をコミットメント問題(例えばなぜ人はテロに走るのか)を解決する際のキーとして理解する立場です。フランクのこの本もスタンダードな合理性の理解に立脚する論者たちにはかなり突っ込まれていて、あまり本国では評価されていない気がします。むしろ日本の方がフランクの感情を重視する立場は評価されるかもしれません。このエッセイ集はいくつかの大テーマと小テーマにわかれていて、原書自体は非常に読みやすいものでした。ただ体系的なものを読みたい人はフランクの他の本や彼の教科書(ミクロの本やバーナンキとの共著)を読んでからの方が誤解なく読めるかもしれません。フランクの考えはいまだに論争中のものが多いですから。例えばデネットの『自由は進化する』で言及されていたRossとDumouchelらからの批判的検討とそれへのフランクの応答などは興味深いです。そのうちここでも紹介しましょう。


日常の疑問を経済学で考える

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