霞ヶ関埋蔵金の経済学


 知人のオオガラスさんから教えていただく。『月刊現代』2月号での高橋洋一内閣参事官の「これが「埋蔵金」の真相だ」は読みどころ満載で必読ですね。要点を少し列挙すると


1 財革研の中間報告vs清和会の政策文書 →派閥の政策提言が「霞ヶ関」を利用した財革研の政策提言を打ち負かしたことはかってないことで重要。

2 特別会計におけるキャッシュフロー分析(事業等年度終了+新規事業行わず+債務負債関係の清算完了する将来時点での推計実行)を適用した「最終的な資産債務差額」の認定作業。経済財政諮問会議で過去(2005年4月27日)に行う。年金会計は大赤字だが、財務省管轄の「財政融資資金特別会計」と「外国為替資金特別会計」の両者で約40兆円の資産超過=「埋蔵金」候補、ほかに規模はそれよりも小さいが「労働保険特別会計」(約6.2兆円)など。(数字は当時の試算による)。


3 財務省所管のふたつの「埋蔵金候補」が肥大化した理由。「財政融資資金特別会計」は低金利が原因、「外国為替資金特別会計」は円安貢献。ともに将来的には金利変動リスク、為替変動リスクが存在する。しかしALM(資産負債総合管理)の発展や財投債の導入でこれらのリスク回避は以前よりも格段にましになっている。つまり金利変動準備金などは規模が大きくなくてもよい。


4 「埋蔵金」としてほかに重視すべきなのは独立行政法人。独法化の段階で政府資産を振り分けた。高橋論説によると独法を例えば民営化してもこの政府からの分離資産が政府に回収される規定が存在しないとのこと。独法での「埋蔵金」は高橋試算では最大20兆円なのでこれを政府が回収できる枠組みが必要になる。ちなみに郵政民営化はこの設計がうまくいったという高橋節。

5 高橋プラン

 名目成長率を上げる→歳出削減、「埋蔵金」発掘→それでも財政再建が危機的ならば増税


という4つの戦略手段と優先順位。

6 高橋プランの障害は、日銀のメンツと財務省の権力志向

 名目成長率をあげる政策への抵抗は、日銀の場合は国債を購入してハイパワードマネーを増やすことは日本銀行にとって財務省への屈服と思えるDNAがある。国民経済のことを考えないで意味がないメンツにこだわる馬鹿げた発想。


 財務省増税するとお金の采配で権力維持、さらに独法改革反対も同じで天下り先の確保のために歳出削減反対+増税に。ここらへんは当ブログでのここのエントリーにある柴田仮説も参照のこと。


7 最大の不可解な財務省のアンチ名目成長率路線の核は、「成長すると金利があがり財政再建できない」と信じていること。


 この理屈のあやしさはすでに、このブログでも別の高橋論説を紹介したので略。


今後、「福田ノミクス」はこの高橋プランを採用せずにはいられないであろう。ということで中川の眼のエントリーも見よ。