『月刊現代』から:高橋洋一氏の処遇をめぐる与謝野・麻生の「宮廷クーデター」


 郵政民営化の基本的設計をした前内閣参事官高橋洋一(現経済社会総合研究所客員研究員、来年3月31日までの任期)は、小泉構造改革の多くの制度設計、政策論争の基本的枠組みの構築をしたことは、このブログをご覧の方ならわかるでしょう。以下、肩書きは安倍改造内閣時のとき。


 今月の『月刊現代』11月号では、現代名無しさんといえる国平修身が「与謝野・麻生「宮廷クーデター」これが真相だ」という記事を書いてます。この記事の中盤までは実に面白い。安倍政権の内閣改造による与謝野官房長官が、「政策通」(記事によれば。政策通とは官僚の言い分に理解がり、霞ヶ関の力になってくれる、という官僚の誉め言葉だそうです)の力を発揮し、高橋憎しの参事官からの更迭・冷や飯食いをめざした。天下り禁止の公務員制度改革に反対していた旧大蔵省の的場順三官房副長官と、高橋にかって「成長・金利論争」で竹中・中川・高橋枢軸に政治的・理論的にやられて「あいつだけは許せない」と息巻いていた「政策通」与謝野氏がタッグを組み、安倍首相の意向(高橋さんのいいようにポスト処遇を)を無視して更迭をちゃくちゃくとすすめる。


 この中堅官僚の処遇ですら満足にコントロールできないことを知った安倍首相はさらに精神的なダメージ。これが「宮廷クーデター」の一面である、という記事でした。これに副大臣人事。遠藤農相更迭などの与謝野・麻生の仕切りが重なり、「クーデター」の絵が完成していくわけです。


 さて郵政民営がスタートし、その成否はさておき、これだけの大事業の設計図を描いた人間の処遇として、3月31日で事実上のクビ、というのはあまりにもバランスを逸した人事ですね。それだけ財務省を中心とした怨みを買ったわけですね(つまり改革としての成果が顕著だったということの裏返しでしょう)。しかしこの記事もそうだし、結果として与謝野氏は一部でなんか妙に好意的な見方もありましたが、このブログやBaatarismさんのところで懸念したように、というかそれを大幅に上回る「ご活躍」をされていたわけですなあ。しかしここ数日、yahooニュースでトップ扱いだった与謝野回顧録、あれはなんでしょうか?(笑)。