明木茂夫『オタク的中国学入門』


 ぷぷぷ、これは面白い。巻頭は『電車男』の上海訳、台湾訳を読み比べて、彼岸此岸の訳業について詳細にコメントしているのが笑える。やはりデリダは正しかった(違っ

例1 「もう疲れたよパトラッシュ…」を台湾訳はちゃんとパトラッシュに注記をくわえつつ訳しているが上海版は省略している。
例2 「ヌルポ」を台湾版はNULUPOとして注釈、上海版は「あったかいなあ」(違っ 笑。


など深い比較文化史的アプローチが読ませる読ませる。いまの日本の社会科で使用されている中国地図が原語表記主義に誤ってはしるために、「万里の長城」が「ワンリー長城」に! などあなりの愚かさに唖然とするばかり。著者も怒りながら爆笑しまくり(^^;)。


漢字の洞察も実におくが深い。例えばわれらリフレ派になじみの深いかの文字ももともとは以下のようだったのであるが、ここから漢字の成り立ちとオタク魂がドッキングしていく記述は類例をみないものである。



 あと僕もしばしば留学生が帰省したおみおやげと称して不可解なる日本語を記した食品の断片をおすすわけしていただくのだが、そのキメラ日本語の実に実践的な解説もあり、これはマジ奥深いぞ。「世界の中心で、愛を叫ぶぷ」で一ページつかって笑いまくる爆走センスもグッジョブ。プラモと天体は若干僕の好みと違うが日本国民必読の中国文化論である。


 今度、大学で留学生に感想を聞きたいものである。


オタク的中国学入門―と学会レポート

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