小野先生の理論はさておき、本書がとりあげている各種の政策論争の俯瞰はかなり古い話題に感じた。構造改革vs財政政策という図式から両者を批判的に捉えるというのは、この対立図式自体がすでにここ数年世論でも論壇でも後景に退いているため古臭さを否めない。この図式で政策論争を俯瞰しえたのは小泉政権前半までであり、それにもかかわらず本書はその過半まで小泉政権の政策スタンスを問題にしているが、いまはリフレ=上げ潮政策の安倍ー中川政権なのだが……。インフレターゲット批判の論点も日銀は公衆の期待をコントロールできるのか、という90年代後半ぐらいに話題となった話が中心。もう一度この論点をみんなで考えるにはいいのかもしれないが……
不況のメカニズム―ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ (中公新書)
- 作者: 小野善康
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 新書
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(政策論争本なのに)時間が止まってる……
ただひとつ新しいのはガンオタ世代交代論か