竹森俊平さんの政策分析


 ちょっと遅れたネタだけど月曜に『読売新聞』ででてた「地球を読む 官邸主導と「負の記憶」」。およそ三つの視点から過去の記憶=「負の遺産」と現在の政策評価をからめていました。


1 安倍政権の当初の支持率高いのは国民の「歴史感覚の欠如」。朝鮮半島情勢が緊迫化する中で5年に数度しか中韓との首脳会談がない「負の遺産」の評価をもっと厳しくすべき


2 1997年の経済危機の「負の遺産」。旧大蔵省の当時の不良債権隠しなどが「負の遺産」となって現在の安倍政権の財務省はずしが行われている。


3 2からその政策は財務省よりでなく成長戦略。その核は法人税減税。しかし法人税減税には消費税増税必要。また消費税増税とからんでいる公的年金改革をしないといまのスキームでは公的年金が自然消滅することに。しかし安倍政権は消費税増税公的年金改革も先送りを選んでいる。これも「負の遺産」=97年の経済失速の原因=旧大蔵省の提供する政策スキームの失敗の記憶ゆえ。


1については同意。2については財務省といっても一枚岩ではないでしょうが、それでも現状の増税先送りは私は「負の遺産」ではなく「正の遺産」だと思います。竹森さんも同じでしょうから僕の読み取りが悪いのかも。3については竹森さんの主張がいまいち理解できないでいます。所得代替率に注目して、現状だと所得上昇率>物価上昇率>年金給付引き上げ率=物価上昇率−1% なので、所得代替率は次第に低下してゼロに収束して年金はやがて消滅という話でしたが……。とりあえず厚生労働省の試算では所得代替率はゼロに収束しないのですが? それと以下の試算の前提を実質経済成長率2%、名目4%の上げ潮路線にすれば(所得代替率はさらに低下しても)年金額の増額はさらに増えるように思えるのですが?


http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/04/04-10f.html


簡単にいうと公的年金改革が必要だとしてもその重要性が竹森さんの論説ほどあるのか、ちょっと理解できないでおります。