若田部昌澄、マル激トーク・オン・ディマンド&松尾匡「マイナスどんどん」

http://www.videonews.com/on-demand/391400/001401.php

 この番組に加盟してないので本体をみることができないのでなんですが、僕もまだこのブログでは断片的にしか書いてませんが(例:昨日の「それでもやはり強欲ものへの批判と世界経済の危機回避はわけないといかんだろうね」や「穴掘って埋めるのケインズ的金融版」など)、この解説文中の若田部さんの発言趣旨に賛成ですね。

:若田部氏は、今週下院が否決した法案は決して完璧なものではないかもしれないが、「火災が起きている以上はまずは消火が必要」との理由から、法案可決の必要性を強調する。ここで手を打たなければ、傷口は更に広がり、結果的により大きな負担を強いられることになる可能性が高いからだ。:

 残念なのは、日本はすでに本格的な不況入りをしたことと、新興国へのショックはやがてボディブローのように世界経済に不況をもたらすかもしれないことですね(さらに日本にはダメージ)。まあ、それを「よくある不況」(原田泰さんの言葉)と予測するか、それとももっと深刻なものと見做すかは、議論がわかれるでしょうね。

 少なくとも松尾匡さんが「マイナスどんどん」と形容しているこの図の示す深刻さはちょっとした惨劇といえるかもしれませんが……

 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/bukkarendou/bei.pdf

飯田教養三部作がおススメ

極東ブログのfinalventさんから

:今後こうした危機が世界に及ぶのかわからないが、基本的な金融の仕組みについて、この関連でいえば金利がどう決まるかについては、10代、20代で知っておくべきなのだろう。こういうのを学ぶのによさげな参考書ってあるでしょうかね。:

 基本的な金融の仕組みや金利の決定というよりも、経済問題全般で(10代、20代に限定せずに)教養レベルでためになる最初の三冊として、僕は飯田泰之さんの「教養三部作」を推薦してます。経済学ってやはり現実との関係がみえないで、ミクロ、マクロ、計量とやっていくとかなりの割合で興味失うので、やはり彼の三部作を先によんでなにかしら現実経済と経済的思考の関係を知った上で本格的に取り組むのもよし、または幅広い教養の中で別なものを究めていくのもいいんじゃないでしょうか。僕らが学部学生のときに、佐和隆光とか宇沢弘文氏らの岩波新書が、現実経済と経済的思考の関係ではなく、現実経済と「反」経済的思考の関係に興味を促すことに成功したのに比べると、この飯田三部作から読む人は好運でしょう。それに特定の著者の著作をまとめ読みするとその人の「思考の枠組み」とでもいったものをトレースできる点でも有益ですね。僕はそういうやり方を何人かの著者で試して速読も学んでいったように思えます。

経済学思考の技術 ― 論理・経済理論・データを使って考える

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ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

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考える技術としての統計学 生活・ビジネス・投資に生かす (NHKブックス)

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金融面での傑作は以下の著作で、これ以上の作品を飯田さんが書けるのか心配になってしまいます 笑。それだけこの著作はある意味で経済啓蒙書の極北に位置しています。類似の評価を稲葉振一郎さんが新版の『経済学という教養』のあとがきで書いています。これに匹敵するのは、安達誠司さんの『脱デフレの歴史分析』や野口旭さんの『経済学を知らないエコノミストたち』などごく少数ですね。

歴史が教えるマネーの理論

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