2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

生活保護問題対策全国会議編『間違いだらけの生活保護バッシング』

河本準一氏の母親の生活保護受給が政治家やマスコミ、そしてネットでも厳しいバッシングをまねいた。僕は知らなかったのだが、テレビでは生活保護受給者を見張れ、みたいな番組もあったのだろうか? 本書はこの一連のバッシングへの丁寧な反論を用意している…

松尾匡『新しい左翼入門』

日本の左翼の歴史と現状の課題を面白く読ませる。本書では、左翼運動にあるふたつの社会改革の態度ー「嘉顕の道」(上から目線)と「銑次の道」(大衆のコンニャロー路線)ーを対比させ、それぞれの成果とまた陥った必然的な失敗のパターンを、いくつかの左…

カール・ポランニー『市場社会と人間の自由』

訳者の若森みどりさんにだいぶ前に頂戴したけどようやく読む。ポランニーを読むのは毎回、ちょっとエイやと気合いをいれないと読めない。ひとつには相性というものがあるんだろうけど。 本書はともかく難しい。ポランニーの未完の草稿や短文、また『大転換』…

石破茂氏の「インフレ目標でハイパーインフレ懸念」論

石破茂議員が自民党総裁選に出るのではないか、というニュースをみて、彼のデフレ問題へのスタンスを調べてみることにしました。 表題の件ははじめネットの冗談かと思ったのですが、ロイターでのインタビューに2年ほど前に答えたときのものなんですね。http:…

星岳雄氏のゾンビ農業論、八代尚宏氏の農協論、若田部昌澄&栗原裕一郎氏らTPPとコメの話

星教授(カリフォルニア大学)が日経ビジネスオンラインで日本の農業について語っていた。http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120824/235976/ (農業関係は会員登録しなくても読める) 星:建設不動産、農業などです。建設不動産は、建築許…

ネタとしての首相の問責決議可決

内閣総理大臣野田佳彦君問責決議 本院は、内閣総理大臣野田佳彦君を問責する。 右決議する。 理由 野田内閣が強行して押し通した消費税増税法は、2009年の総選挙での民主党政権公約に違反するものである。 国民の多くは今も消費税増税法に反対しており、…

いまの日本に徴兵制を実施したらどうなるか(簡単な経済学的視点から)

Twitterで徴兵制導入すべし、という意味不明の発言を最近よくみるようになった。基本的に、ただの若者には根性や防衛意識が足りないなど、無責任な発言によるものが大半だ。ただし知的な関心もある。徴兵制をいまの日本に導入すればどうなるだろうか。それを…

上念塾トークライブに出演(10月2日火曜日)

上念さんと御一緒です。この日にはちょっと工夫して新ネタの陰謀の経済学をお披露目できるように努力します。もちろん経済情勢世界一周も。http://www.loft-prj.co.jp/naked/schedule/naked.cgi?year=2012&month=10上念塾経済セミナー10月 2DAYS 「亡国経済…

9月8日荻窪ベルベットサンでトークベント

告知していました、トークイベント、最近の社会情勢の変化を踏まえてより具体的なものに絞りました。また出演者もパワーアップ! 9月8日土曜日 午後6時開場 6時半開演 荻窪ベルベットサン(場所はこちら http://www.velvetsun.jp/about.html) 料金20…

片山さつき・城繁幸・赤木智弘「本当に生活保護を受けるべきは誰か」in『Voice』八月号

ちょっと前の号ですが、気になっていた対談で備忘録も兼ねてここに引用と簡単なコメントを書いておきたいと思います。この三者の組み合わせというのは面白いですね。 対談の記録はここで今の段階ではここに掲載されてます。 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/…

岩田正美「生活保護を縮小すれば、本当にそれで済むのか?」in『現代思想 特集 生活保護のリアル』

『現代思想』が総力をあげて取り組んだ印象の強い生活保護問題についての特集を飾る力作論説である。政治的な扇動で始まった今回の生活保護制度パッシングへの詳細な反論が展開されている。 その主張はかなり鮮明である。 現在の生活保護パッシングの背景に…

小林よしのり・中森明夫・宇野常寛・濱野智史『AKB48白熱論争』

まずAKB48好きの情熱は本物だよなあ、と感心した。ただし白熱しているのはファン心情であり、論争には発展していない。後半でさっしーの評価をめぐって、小林氏と若いふたりとの間で多少先鋭的に対立するぐらいで、あとはファン自慢大会であるw。 ただしぐ…

赤松要の生存権の社会政策論

福田徳三の生存権の社会政策を継承する、赤松要の生存権の社会政策論についてのメモ書き。 基本文献は、赤松要「「生存権の社会政策」論争」(『一橋論叢』第42巻第6号539−557頁)が中心。以下で特に参照しなかったが、赤松要の『ヘーゲル哲学と経済科学』(…

福田徳三の厚生闘争の現代的意義

1930年までの日本を代表する経済学者の福田徳三に「厚生闘争」という考え方がある。これは「社会的必要」を満たす(労使間の)賃金闘争を意味している。 従来の賃金交渉を福田は「価格闘争」としてそれはより高い賃金水準を目的としているにすぎず、「厚生闘…

尊厳死法案の論点整理(TwitterでのITOKさんのつぶやきメモ)

Twitterで畏友のITOKさんがつぶやいてた内容がとても参考になるので、以下に整理しておきます。ご本人の了解ないので迷惑だったらこのエントリーなくなるかもしれないので悪しからず。https://twitter.com/ITOKtw/status/239166403243036672からの連続ツイー…

尊厳死の法制化を認めない市民の会発足集会に出席

尊厳死議連によってすすめられている「尊厳死法案」に反対を表明する方々と集い、そして法案固有の問題や、また日本の医療、福祉、そして生きることについて様々な方々が発言されて、非常に勉強になった。 勉強段階の僕には、ほとんど言うべきものはなかった…

学校選択制といじめ(メモ書き2)

松尾匡さんが反論を書いております。 それについては学校選択制自体の勉強をある程度すすめてからまとめるとして、今日はいくつか気になるデータをメモ書きに。あくまでもネットで検索した程度ですのでそこはご容赦を。 大津市では学校選択制については2003…

アームストロング氏死去、月面着陸をテレビでみてた頃

アームストロング船長(船長といえばアームストロング、艦長といえば沖田艦長)が死去された。謹んでご冥福を祈りたい。まだ幼少のころに、真夜中か明け方か忘れてしまったが、月面着陸を映すというテレビの前で眠いまなこでじっとブラウン管をみていたのを…

若田部昌澄「歴史としてのミルトン・フリードマン」

『経済学史研究』の最新刊に掲載。最新の経済学史研究は、アクター・ネットワーク理論が積極的に利用されている。経済学者たちの交流や交渉にしぼり、彼らの主張をアクター、概念、テクノロジーの連関から理解するものだ。このようなアクター・ネットワーク…

チリ経済のいま

チリの経済はいまどうなっているのか。ネットで収集できる資料を利用してみておこう。 チリ経済はリーマンショックの影響で09年こそマイナス成長だったがそれ以降は6%台を維持する高い成長を記録している。http://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP…

もしヴィトゲンシュタインがマクロ経済学者だったら…ではなく、本当にヴィトゲンシュタインがマクロ経済を語ったとき

スコット・サムナーのブログに「もしヴィトゲンシュタインがマクロ経済学者だったら」というエントリーがある。ヴィトゲンシュタインだったら言いそうなスタイルを模倣した面白いものだ。でもサムナーは書いてないけど、ヴィトゲンシュタインがマクロ経済に…

学校選択制といじめ(メモ書き)

松尾匡さんがホームページのエッセイで「学校選択制の外部性が大津いじめ事件を生んだ」http://t.co/UicP0sI9というものを書かれた。簡単にいうと市場の失敗としていじめをとらえている。以下、抜粋。 学校選択制が事件の隠蔽をもたらしたのではないかという…

ジョン・モールディン&ジョナサン・テッパー『エンドゲーム 国家債務危機の警告と対策』

民間も公共部門も負債だらけで、それがどんどん増えていく負債スーパーサイクル。この負債の重荷で停滞継続、またまた負債はふえていき、そのうちどっかん!(ゲーム終了) これが本書の中核メッセージである。負債スーパーサイクルのエンドゲームの後は負債…

第八回河上肇賞応募中!

今年もまもなく河上肇賞の締切です。お手元にある原稿、論文などありましたらぜひご応募ください。分野は事実上問いません。また今まさに熱く議論されている問題に切り込んだものも当然に歓迎します。また雑誌や紀要に一部既に発表したものであっても単行本…

塚越健司『ハクティビズムとは何か ハッカーと社会運動』

最近、ネットをみていてしばしば言及されているのが、はるかぜちゃんとこの本の題名になっているハクティビズムだ。はるかぜちゃんについてはまた今度とりあげるとして、本書はこのハクティビズムをめぐる現段階で読める最も包括的で詳細な解説である。特に…

政府の概算要求組替え基準を読む

来年度の予算の概算要求組み換え基準を読んで、そのもとになる「理念」ともいえる「日本再生戦略」を読んだときもさっぱりわからなかったのが、その目玉のグリーン、ライフ、農林漁業の「成長戦略」の部分である。例えば、「グリーン」の中味をそもそもの日…

速水健朗『都市と消費とディズニーの夢ーーショッピングモーライゼーションの時代』

デフレカルチャーの造語を生み出した速水健朗さんの最新作は、都市の些細だが重要な変化(時間決め駐車場から校外のショッピングモールの進展など)に注目した興味深い探究だ。あとがきにもあるように、SF作家のバラード的な世界を速水さんの独自の視点から…

竹中平蔵氏の国土強靭化についての見解

きわめてまっとうな主張だと思う。竹中平蔵のポリシー・スクール 8月16日 “国土強靭化政策”をどう受け止める?http://www.jcer.or.jp/column/takenaka/index392.html 改めて公共投資のあり方を根本的に問う理由として、投資額削減の中で今後の更新投資が十分…

クルーグマン「日本に必要なのは…『物価上昇を伴う経済成長』だ。」スティグリッツ「日本の経済を刺激する方法はいくつもある。円高を食い止め、製造業の輸出競争力を向上させることが重要」in NHK Biz

ここ数日、僕の知人もインタビュークルーで参加した、NHKのBizに出演したクルーグマンとスティグリッツのインタビューの文字起こしが以下で読める。必読である。世界が注目する“日本の教訓” http://www.nhk.or.jp/bizplus/history/2012/08/detail20120813.ht…

尊厳死法制化に反対します

以下に尊厳死法制化を認めない会のパンフレットの画像を掲載します。僕は尊厳死法制化反対に署名しました。大きい画像はこちらのpdfファイルをクリック関連するエントリーはこちら http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20120531#p2