相変わらずの「日本の借金」と「将来不安」に染まるテレビ報道

久しぶりにテレビのニュースをみたが、News23は政府予算特集。相変わらずの「国の借金」の側面だけを過大視し、しかも消費税が「借金」返済にあてられることなく、教育無償化にあてられたことを問題視する発言。そしてこのため「将来不安」が増すとしてコメントを閉じる。

 

つまり「将来不安」の解消のためには、消費増税を「借金返済」にあてないといけないという財務省の本音をさらに露呈させた番組の意見ということだろう。一応、財務省は本音を隠すために、“消費増税社会保障充当にします、といながら実は借金返済してましたてへぺろ”という詐術をしていたが、news23では、それを隠すこともなく番組の意見として表明していたことになる。

 

問題点としては、

1)日本の借金=負債の側面だけクローズアップしていて、資産の側面は無視。せめて純債務で議論すべきなのだが、そういう最低限の配慮さえもない。

2)「将来不安」というが、消費増税で現実の経済が落ち込み、それで低階層を中心に実消費が落ち込んでしまい、さらに将来に希望をなくす人たちが生じるだろう。現在をくじけさせて、将来になんの望みをかけるのだろうか。この番組の制作者、司会、コメンテーターたちは所得階層上位かもしれないが、ほとんどの人たちに対して、現在の経済的苦境の中で将来の希望をみろ、というのは偽善的な発想でさえある。猛省を望みたい。また実際に2014年の消費増税も「借金返済」にむけたり、事前にはあれだけ「消費増税で将来不安解消して消費が伸びる」としていたが、まったく消費は回復しなかった。

そのことは片岡剛士日銀審議委員の作成した図表をみても明らかである。

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本当にテレビ番組のこの無責任きわまる、また事実ともことなる「日本の借金」報道はどうにか改善できないのだろうか?

国民に事実上の嘘を垂れ流すだけである。見解の違いというレベルではない。