宇佐蔵べにとavandonedそして仲間たち(APOKALIPPPS、カイ)の恵まれた一夜

高円寺Highでの宇佐蔵べに生誕祭ライブ。ちょうど一月半ほど前、宇佐蔵べにがメンバーで、またプロデュースも兼ねるアイドルグループavandonedの名称改変後はじめてのワンマンライブが行われた場所でもある。ワンマンライブ同様に満員といっていい観客の多さ、特に若い観客が目立つ。僕の隣では20代の女性客ふたりが、宇佐蔵べにのパフォーマンスが躍動するたびに、ふたりで体を寄せ合い歓喜していた。

 

avandonedがあヴぁんだんどの時代から、彼女(たち)を見てきたが、特につるうちはなの楽曲を得てから強く打ち出されている「女の子である歓喜」とでもいう祝福されたステージングがライブ会場全体を飲み込んでいる。

 

ワンマンライブのときには宇佐蔵べにの天才的な振り付けとそれをアシストした名振付師の竹森徳芳によって、ほぼ完成された様式美とでもいうものを展開して、僕はとても感銘した。今回の生誕祭ライブは、メンバーの一時休止と新メンバーの加入とがまもない中で、さらに前回のワンマンまでいた“頼りになる助っ人”ゑりかちゃんべいびーが抜けていたため、五人体制になってまもない中での全力のパフォーマンスだったと思う。そこにはまだ十分に華やかになれる要素が見え隠れし、楽しみが募る。

 

五人のメンバーを紹介しよう。

宇佐蔵べには、20歳ながら(本当の誕生日は12月12日)、おそらく現在の日本のライブアイドルの歴史を物語ることのできるキーパーソンのひとりになっている。音楽だけではなく、思想的・社会学的な考察の対象としても興味深い人だと思う。

真戸しずくは、今日も生誕祭のファンからの壊れやすいバースデーケーキを舞台から慎重に運び出した。おそらく他のメンバーだと、その崩れやすいケーキを持ち出すことは難しかったろう。それはそのまま彼女のキャラクターを物語るのではないか。落ち着いた人間性と、知的なニュアンスが彼女の特性である。

出雲 にっきは、初めてみたときは、はにかんだその雰囲気が新鮮だったが、いまではメンバーの中でも静かに爆弾を抱えていそうで注目している。もちろんその静かな爆弾はいい意味で使っているのだ、感性の爆発を期待したい。彼女たちの楽曲にある「爆発するロマンス」そのものとして。出雲はおそらく初期のあヴぁんだんどに繋がる。

清水 まな はこのグループの中で相対的にアイドルらしいアイドルとして基盤を築いている。デビューしたときの印象とはまったく違う成長がある。そしてダンスのちょっとしたモーションにそのアイドルらしさ、それも艶のようなものを感じる。この展開は当初予想していなかっただけにまだまだ魅力が増すのではないか。

音々 ひるね は、まだこのグループに加入して二週間。僕も初めてライブはみた。しかしどうだろうか。彼女は他のメンバーとそん色なくステージングをこなしている。その努力とまた支えるメンバーたちの和にも感銘した。どんなヤバい、いや面白いアイドルなるのだろうか。

いまは休止している犬飼はるを見ることができず残念だったが、また戻ってくることを期待したい。

 

宇佐蔵べにの仲間たちのライブも面白かった。やはりAPOKALIPPPSは楽曲がとてもいいし、全員がおしゃれで現代のアイドルのひとつの造形を確実に示している。このグループを語るには文字数のバランスが狂いそうなのであえて抑制するが、やはりぱいぱいでか美は最高である。またカイの「秘密の扉」は極めていい。ちょうど数日前に、カイ、宇佐蔵べに、石川浩司のグループえんがわの一年半ぶりのライブをみたばかりで、三人の「さよなら人類」に人類絶滅的な終末観と同時に未来への期待をみ、またニューアルバムを本日だしたカイの登場はその意味でも絶好のタイミングだった。

 

宇佐蔵べにのことをこれを読むあなたは知らないかもしれない。しかしそれは時代を知る上での損失である。そのことを再度確信させるライブだった。ファンと仲間たちに恵まれた一夜を。

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参照

あヴぁんだんど、「見捨てられたアイドル」の祝福された一夜 – REAL-JAPAN.ORG

“見捨てられた少女たち”が聖母マリアになった日(あヴぁんだんど、見納めワンマンライブ) | hidetomitanakaのブログ

www.youtube.com