ケインズ学会「MMTシンポジウム」簡単な感想(MMTの問題の核心は雇用最大化、物価安定に失敗すること)、JGPはMMTの問題の本質ではない(おまけの話題だ)など

ケインズ学会の初日はMMT関係のシンポジウムがあって、司会は浅田統一郎さん、報告者は野口旭さん、松尾匡さん、内藤敦之さんだった。

 

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野口旭、松尾匡、そして意外だったが内藤敦之さんら、もちろん司会の浅田統一郎さんまでみんな似た観点でMMTを批判した。欧米の経済学者も共通していて、要するに雇用最大化や物価安定に使えない、むしろ時代遅れの産物。これに対してMMTは「オレは世界一」とやるのでカルト化しますわな。

 

ケインズ学会でのMMTシンポでは、MMTに登壇者すべてが批判的だったが、その核心は名目金利一定で財政政策でコントロールするというMMTの政策は、時代遅れ、雇用の最大化、物価の安定に失敗するリスクが高いこと。リフレ勢は一様に期待経路の無視を問題視。質問した僕ももちろん。

 

野口旭さんは報道によると自民党の議員たちの前で講演したそう。

自民党が「MMT勉強会」、出席者から賛否両論 - ロイター

これに対して安藤裕議員が以下のように呟いてた。

 ちゃんと理解してないで断片的理解の典型。名目利子率固定の財政支出での完全雇用達成が不安定(裏面での物価水準コントロール不可能)が野口さんの報告の肝。結果、赤字垂れ流し、インフレ制御不能のリスク高まる。ちゃんと聞いてない証拠ですよ。簡単な話題、と僕は引用ツイートしました。

 

なおJGP(雇用保証プログラム)を重視する人たちが肯定派にも批判的な人にも多いですが、上記のシンポジウムでは、それはMMTの本質とはいえないというのが論者たち(野口、松尾)のおおむねの指摘でした。MMTで受動的金融政策と組み合わさった財政政策の不能の方がよほど深刻ですね。ただJGPに注目するとさらにMMTの党派性が際立っていて社会主義的なニュアンスが強くなることはいえます。それをどう評価するかは政治的な立ち位置の話で個人的には興味ありませんね。

 

なお現状の日本経済に財政赤字を気にせずに財政出動をせよ、というのはMMTでなくても彼らのいう「主流派」であるニューケインジアンの多くでもいえることですので、いちいちMMTのようにやれ、というのも理解ができない、党派根性まるだしの反知性主義の人たちの物言いでしょうね。というか不況のときに景気対策しろって高校の教科書にもかいてありますw。MMTの成果でも独創でもまったくありませんw