黒田日銀体制の継続と若田部昌澄副総裁候補、そして「雨宮正佳」的なるもの

2月16日、4月からの日本銀行の新体制について安倍政権は人事案を国会に提起した。黒田総裁の継投と、そして副総裁には若田部昌澄早稲田大学教授、雨宮正佳日銀理事をあてる案である。

 

この組合せは以前から噂されていたいくつかの人選の中のひとつであり、大きな驚きはないものの、最有力視されていた本田悦朗内閣府参与・スイス大使の名前がないことはやはり注意をひく。この点については日本経済新聞が詳細な記事を書いているが真偽のほどはわからない。

 

黒田総裁の継投の評価については、先にこのブログの記事中にも書いたので簡単にいうと「最悪中の最善」でしかない。政府と日銀は本当にデフレを完全に終焉させることができるのかどうか、いまの状況ではその達成確率は(2019年前半まで)かなり低い。このままの政治スケジュールを前提にすれば、消費増税が行われる2019年後半の経済状況はかならず混乱する。できるだけ2019年前半までに日銀が許容すると現時点では明言している、2%のインフレ目標をオーバーシュートしていないと厳しい事態=デフレの完全脱却の失敗、が待っているだろう。その意味でデフレ終焉を行うだけの決意が黒田総裁にあるのかどうか、そこが問われる。

 

若田部昌澄さんについては、個人的には30年以上にわたる知友である。経済学、時論など重要な活動において、その都度彼の意見を聴かなかったことはない。また研究・時論など多くの場を共にした。常に頼りになる、学者としても人間としてもとても素晴らしい人だ。日本銀行副総裁という重責を彼ならばその人生のすべてをかけてやり抜いてくれるだろう。国民の皆さんに(私が言っても意味はないかもしれないが)彼ならできる、と明言したい。そして微力ではあるが、全力をあげて彼を応援したい。

 

雨宮正佳氏については個人的な評価は「最悪の中の真ん中ぐらいの最悪」と認識している。ただ日銀の組織的な都合ではやむをえない人事だったのだろう。しかしこの人選は冒頭の黒田総裁の金融緩和姿勢を見る上でかなりの足かせ(旧来のデフレを放置し、いまも出口政策を早急に求める勢力の代弁)として機能するのではないだろうか? 

 

いずれにせよ、よほどのことがないかぎりこの人事案は通過するだろう。新執行部が決まった段階で(ひょっとしたらもっと早くかもしれないが)まとまった意見を書いてみたい。

なお以下に黒田総裁の現時点の評価を書いたので参考にしてほしい。

tanakahidetomi.hatenablog.com

 

また若田部さんについては以下を参考にされたい。2010年までの活動を書いたものである。

tanakahidetomi.hatenablog.com

 

以下は2013年ころの雨宮正佳氏への評価である。

tanakahidetomi.hatenablog.com

tanakahidetomi.hatenablog.com