内藤陽介『パレスチナ現代史ー岩のドームの郵便学』

 内藤さんの新作。トランプ政権がエルサレムイスラエルの首都に認定したのをうけて、改めてエルサレム、そして中東情勢やその歴史的経緯に関心が高まっています。その状況をうけて、内藤さんの新作はとても価値あるものになっています。中東の政治状況は複雑に錯綜していて全体像を見失いがちですが、本書は歴史的経緯をおさえながら、また内藤さんの独特の郵便学的手法で、切手やステーショナリー類という具体物をみせながら展開していて、読書し始めるとあっという間に読めてしまいます。

 特に本書では、まさに話題になっているエルサレムが中心的問題なので、トランプ政権の今回の決定を中東諸国がどうみているのかを理解する上で必読ともいえるでしょう。

 ちなみに政治的な色彩の強い切手が本当に多く、個人的にはインティファーダの切手やまたロシアが発行したパレスチナ帝国正教会協会の記念切手とそのエピソードに強く興味をひかれました。現代史と中東の今を知るためにも手元においておきたい本です。

パレスチナ現代史: 岩のドームの郵便学

パレスチナ現代史: 岩のドームの郵便学