内藤陽介『英国郵便史 ペニー・ブラック物語』

 小学生の頃に親にねだってギボンズの切手カタログを購入した。これは内藤さんの新著にも言及されているが特にイギリスや英領関係の切手を知るには格好のカタログである。小学生の頃は英語はろくに読めないのにこのカタログで英領切手の美しさなどを妄想した(白黒なので)。

 またなんといっても世界最初の切手ペニー・ブラックは子ども心にいつか入手したい切手としてあったが、当時のカタログ価格は子どもの小遣いの想像を超えていたように思う。ところが本書には冒頭に購入者向けの簡単なガイドがあり状態によるが、めちゃめちゃ高価なわけでもないことがわかった。小学生からそこそこ大人になったということだろうか(笑。

 本書はまた経済学揺籃の地でもあるイギリスのまさに産業革命前後の時代背景を丁寧に書いていて、郵便史また鉄道などの交通史としても読み解くことができる。さまざまな政治家の功績や政治的事件も簡潔に理解することができて、まさにイギリス近代史のいい入門書ともなっている。経済学の歴史を知りたい人の副読本としても役立つかな、と思った。

 しかし内藤さんの郵便学の一連の著作を読むたびに切手収集熱が再炎しそうで困るw。