「ひとり親世帯の貧困」問題論争メモ

山本一郎「「ひとり親世帯の貧困」問題と、駒崎弘樹×常見陽平論争について」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20151110-00051313/
「議論の中で出てきたのは、そういうひとり親世帯の貧困の原因となっているのは、幾らかの割合が離婚問題であり、別れた父親の側が子供の親権を母親に引き渡した後、決められた養育費をきちんと払わないケースが多いということ。また、貧困を全体で見渡した場合、相対的貧困率で見ることが妥当かどうかや、経済的困窮は必ずしもひとり親世帯の問題だけではないこと、さらにはセーフティーネットとしての生活保護スティグマ(刻印)問題を持つこともあって社会的・心理的に受給に抵抗があることなどが問題として存在します。」

「また、政策筋ではすでに財務省厚労省間で、年内をめどに、ある程度手当て引き上げの道筋が見えているところへ、社会起業家が横から出てきて「手当て引き上げ運動」を演出することで、決まっている路線に便乗する形で手柄を横取りするだけではないかという批判も多数見られました。増額が決まっている話は知れているのに、「増額しよう」と後から世間を炊き付けて、実際増額が決まれば運動の成功だ、とやる手合いは問題ではないか、という話です」

大塚 玲子「ひとり親を救え!」運動はなぜ炎上したのか署名キャンペーンに対して上がった意外な声(東洋経済オンライン 15/10/30)
http://toyokeizai.net/articles/-/90574
「現在の支給額は、第1子で月額最大4万2000円(年収に応じ10円刻みでスライド)ですが、第2子は一律で5000円、第3子以降は一律3000円。1子目と比べ、2子目以降の額がたいへん少ないため、子どもが多い世帯ほど厳しい状況となり、「ひとり親家庭の子どもの54.6%が貧困」(国民生活基礎調査)という深刻な状況を生み出す原因のひとつとなっています。日本の母子家庭(約124万世帯)の就労率は「81%」と世界トップクラスであるにもかかわらず、平均年収は223万円(児童扶養手当や児童手当、養育費、年金なども含む)と低く、子どもがいる一般世帯の平均年収658万円と比べて、大きな格差がある状況です。」

常見陽平 ひとり親家庭は応援するが、「ひとり親を救え!プロジェクト」を応援しないことにした
http://www.yo-hey.com/archives/55400784.html

ひとり親世帯貧困論争でも焦点の「スティグマ」論点の実証分析は希少。以下は重要貢献。Stigma, Shame and the Experience of Poverty in Japan and the United Kingdom
http://pure-oai.bham.ac.uk/ws/files/17786720/S1474746413000419a.pdf

いい展望。専門家でなくてもすぐ読めるのでどうぞ。「現代社会のリスクと社会保障制度: 母子世帯の問題に焦点をあてて 」 田宮 遊子
学術の動向 18(5), 5_38-5_46, 2013 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/18/5/18_5_38/_pdf