『西部邁と佐高信の思想的映画論 』

中森さんの福田論から、西部邁氏の福田恆存論(現在『日本の保守思想』に収録)を再読して、西部氏の著作をすこしまとめ読みしている。この佐高氏との映画をめぐる対談はかなり面白い。黒澤明の『生きる』の主人公造形への突っ込みが特に興味深い。「自分の言葉を失った人」「人生を振り返るのが不自然に遅い人」という視点から、黒澤作品の歪みを摘出している。佐高氏が西部氏のフォローに回って、いろいろ文献紹介しているのも助かる。僕とは意見が違う二人で、映画評も微妙に古臭いものを感じるがそれはそれとして面白い。

西部邁と佐高信の思想的映画論

西部邁と佐高信の思想的映画論