日銀のインフレ目標を犯人にする「円安で生活悪化」説の大罪。本当の犯人は消費税増税の悪影響だ!

 今日、飯田泰之さんと話す機会があって、いまちまたでは日本銀行インフレ目標政策をすることで、インフレ=円安が輸入エネルギー価格や輸入原材料価格などを高騰させ、それが生活を圧迫しているという「円安で生活悪化」説が流行していると教えていただいた。

 これを広めている評論家、エコノミスト、経済学者、政治家、官僚、そしてマスコミの執筆者・コメンテーターは、結果的に、消費税増税による生活の圧迫という本当の「主犯」から注意をそらしているといわざるをえない。

 これらの人たちが、そのような説を述べているのが、消費税増税の悪影響から国民の目をそらしたくて一生懸命はげんでいる財務省の画策の結果だとはあえて言わないでおく。

 ただし「円安で生活悪化」説は、消費税増税の悪影響からともかく注意をそらしたい勢力からすれば、まさに恰好の宣伝手法だ、ということを書くだけで十分である。

 現在の消費者物価指数(生鮮食料品除く総合。コアCPI)は8月は前年比3.1%。このうちエネルギーの貢献は0.8%。消費税増税貢献は2.1%、残り0.2%が需要増加分。

 これを五月以降でみてもエネルギー貢献分は減少(前年比1.2、1.0、1.0、そして0.8)傾向にある。逆に消費税増税の貢献部分が増加している。他方で増税の悪影響で需要増の貢献が減少しているのがいまの状況だ。

 また日銀が公表している企業物価指数の上昇の大半もまた、消費税増税の貢献によるものである(そのほかの要因は減少傾向)。

 簡単にいうと消費税増税が景気を悪化させていて、それが我々の生活を困窮化(特に低所得者層の)しているのが現状である。むしろ需要要因の縮小懸念が強くあり、それは実質的なデフレ経済への再突入を暗示させている。

 結論として「日銀のせいで円安になって国民の生活苦しい」という人をみたら最大限の懐疑の目でみたほうがいい。騙されるな!