バスティアン・ヴィヴェス 『ポリーナ』

 才能に恵まれた美しいバレリーナである主人公とその厳格な師との20年以上にわたる日々を描いた秀作。いままでのヴィヴェスの作品の中では最も長い時間軸を扱い分量も多い。はじめて動的な意味での「人生」を表現した作品だといっていいだろう。古典を読むような味わいだ。『塩素の味』に並ぶ代表作といっていいだろう。日本でおそらく彼の作品の熱烈読者としてかなり早い段階でこのブログでもとりあげてきただけに(ここ参照)、現在かれの評価が日本で定着してきたのは嬉しい。

 未翻訳の初期作品や日本のマンガの影響を消化して描かれたという最新作もぜひ多くの読者に読んでもらいたいとファンとして思う。

ポリーナ (ShoPro Books)

ポリーナ (ShoPro Books)