消費税増税は二つのリフレ(リフレvs財務省発リフレ)のレジーム間競争かもしれない

 今朝、twitterで書いたことをまとめる。
 3%消費税を増税して、2%分を“還元”して、実質1%の消費税増税にするという「財務省リフレ」。いつだったかここかブログで書いたけど、1%小刻み増税案は、財務省発の発想だと、(思い出したけど飯田泰之さんあたりが言い出したときにけん制の意味で)書いたことがある。読売ネット記事はその方向か。

 いま書いた1%小刻みor“実質”1%増税案が「財務省発リフレ」ならば、それに対する普通の「リフレ」は、政治的な妥協で1年延期(&その時点で再考)ないし高橋さんのようにリフレーション(デフレ脱却しての低インフレを維持し、名目経済成長率を安定化させて税収改善すれば)“やらんでもいける”という主張。

参考リンク先
高橋洋一
消費税増税せずとも財政再建はできる
http://diamond.jp/articles/-/41574
浅田統一郎
「デフレ脱却こそが国債累積問題の解決策である」
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20120503#p1

 要するに、安達誠司さんが以前指摘したように、いま起きてるのは「財務省発リフレ」vs「リフレ」のレジーム間競争としても考えることができる。このレジーム間競争は1930年代の日本でも起きたものと構図は近似している。そのときも“リフレ”は分裂している。ここでも何度も指摘しているが。それは高橋是清のリフレvs湛山&亀吉のリフレだ。実際にこのエントリーでも書いたが、http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20130614#p1 両派は、30年代前半において増税の在り方、金融政策が国債安定化に傾斜していることなどを巡って、主に湛山たちが是清を批判していた。

 この「レジーム間競争」(リフレvs財務省リフレ)が起きている可能性が大きい。

 なお財務省リフレの財務省的な動機(名目成長率上昇による税収増よりも消費税税率アップによる税率コントロールの方が裁量権余地大きいなど)については、この討論における高橋洋一さんの発言にも注意すること。

 もちろん「財務省リフレ」は、“財政再建”でもないただの官僚制の失敗としての非効率な裁量権の拡大に帰結するもので、リフレ(=経済安定化を目的)ではない!。ただの仮構でリフレを利用しているに過ぎないのだ

なおレジーム転換についてはこのエントリーを参照されたい。
政策レジーム転換とピーター・テミン『大恐慌の教訓』http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20111011#p1
トーマス・サージェント(2011年ノーベル経済学賞)と政策レジーム転換http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20111010#p1

また安達さんのレジーム間競争については下記の書籍を参照されたい。

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本