ジョン・ガーズマ&マイケル・ダントニオ『スペンド・シフト』

 プレジデント編集部から頂戴しました。ありがとうございます。この本のテーマである「スペンド・シフト」とはリーマンショック以後の経済停滞を背景にして、アメリカの消費者の嗜好がシフト(変化)したこと、その大きい特徴は高級ブランド志向から、いわば自分の質を高める消費に変化したということをさまざまな事例から語ったものです。

 アメリカの経済停滞以降の消費のあり方の変化については、僕はすぐにタイラー・コーエンの『情報喰いの時代』のテーマである「心の消費」へのシフトを思い出します。本書もFacebookTwitterなどのネット消費が、単に消費主体だけではなく、コミュニティの形成(ネットだけではなくリアルにも広まる)や、自らの表現行為としての自分の質の向上の可能性も積極的に唱えていることが、コーエンの本と類似しています。コーエンの本よりもマーケティングの啓もう書一般の傾向ですが、かなり楽観的な書き方となっています。日本でも似たような試みがでると面白いでしょう。

スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ―

スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ―

コーエンの『情報喰いの時代』はこちら

The Age of the Infovore: Succeeding in the Information Economy

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