タブーな経済書

 『サイゾー』の特集本、タブーななんとか本をペラペラみたら経済関係がなかった。もし原稿依頼されたらどんなタブーな経済本をあげるだろうか? 以下、断続的に書いてみたい。これもあげとけというのあったらTwitterで情報お願いします。

1 白川方明「マネタリー・アプローチによるわが国の国際収支・為替レートの分析」日本銀行昭和53年6月

 いまではこの論文では日本銀行がマネーサプライを増加させると名目総支出、生産増加もしくは物価水準の上昇につながり、為替レートも円安に動くとはっきりと書かれている。白川日本銀行総裁の名前を多くの専門家が知ることになったこの論文。オリジナリティはゼロなのだが、それは実践家からすればある種当たり前であり、そのことよりもこの立場を現在まったく放棄し、本人にもタブーならば、日本銀行でもおそらく最大タブーな論文。なぜならいま同じ趣旨の論文を書いたら間違いなくほされる。

2 木村 昌人 『高橋是清と昭和恐慌』

 高橋是清は現在もっとも注目を浴びていい政治家であろう。彼のいわゆる「高橋財政」がどのような内実なのか。それを検討するだけでもいまの日本経済にとって最重要な教訓を与えてくれるのではないだろうか。最近は中央公論のクラッシクスからも高橋是清の論説集がでた。この木村氏の本、いつの間にか店頭から消えていた。塩田湖氏の『金融崩壊−昭和経済恐慌からのメッセージ』の方が数段、オリジナリティで優れているといわれている。

3 渡辺努「ゼロ金利下の政策コミットメント」『金融政策の論点』(岩田規久男編著)所収、2000年

 編者であった岩田先生の「はじめに」での渡辺論文の要旨は、以下でした。
 「金融政策における動学的整合性の観点から、日本銀行の政策コミットメントは、(1)予想チャンネルを明示的に考慮していない、(2)ゼロ金利解除後の短期金利の経路を明らかにしていない、という点で不適切であると指摘し、日銀は目標インフレ率を明らかにしたうえで、ゼロ金利解除の条件とゼロ金利解除後の短期金利の経路をアナウンスすべきであると主張している」。
  その後、渡辺氏から上記のような発言を聞くことはないと記憶している。動学的整合性が別な問題として取り上げられるべきなのかもしれない。

続く(というかあんまりないなw