『週刊東洋経済』経済書・政治書ベスト40

 夏の恒例、『週刊東洋経済』の経済書、政治書ベスト40です。詳細は月曜日発売の同誌を読んでいただくとして、今回は私の知人たちの本を中心にランクインを御紹介。経済書と政治書が別々にベスト20ずつあげられていて、それで計40冊です。以前は経済書だけでベスト100までだったので経済書はこの五分の一とかなり狭き門ですね。対して投票者数は増えているようです。

 経済書ベスト1位は、大方の予想通り、その質の高いジャーナリズム性とまた日本とのあまりにも違う中央銀行(米国FRB)の行動、また他方でFRBのもつ固有の問題性などに焦点をあてた作品、『バーナンキは正しかったか?』が選ばれました。解説は若田部昌澄さん、また同書の編集は私の『デフレ不況』と同じ方です。おめでとうございます。僕はベスト選出はここでも書いてますが、翻訳は除外してますが、そうでなければ当然に選んでいたものです。

バーナンキは正しかったか? FRBの真相

バーナンキは正しかったか? FRBの真相

 経済書ベスト6位には、片岡剛士さんの『日本の「失われた20年」』がランクイン。おめでとうございます。重版も決まったとのこと、河上肇賞の選考委員としても嬉しいかぎりです。私は1位として投票しています。

日本の失われた20年 デフレを超える経済政策に向けて

日本の失われた20年 デフレを超える経済政策に向けて

 経済書ベスト9位には、浜田宏一先生、若田部昌澄さん、勝間和代さんらの『伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本』がランクインです。浜田先生のかっての教え子白川方明日本銀行総裁にあてた金融政策の転換を求める公開書簡。また本書のいたるところにみられる日本経済の問題への真摯な態度は、何度読んでも、深い感銘を受けます。私は第3位に推薦しました。

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

 そして第20位に、拙著『デフレ不況 日本銀行の大罪』が滑り込みました。デフレ本が多い中、また同趣旨(日本銀行問題を扱う本)の本が多い中、20位の中に入れただけでも光栄です。ありがとうございます。

デフレ不況 日本銀行の大罪

デフレ不況 日本銀行の大罪

 さて政治書は大混戦が予想されましたが、予想通りの結果です。特に洋書の新刊を選んでほしいという注文があったのですが、当然のことながら、激戦を反映して、僕の推薦した本はいずれも選外で、ベスト20にも1冊もあげられてません。どんな洋書を皆さんがあげたかみてみたいですねえ。勉強になりますので。

政治書第5位 長谷川幸洋さんの『官邸敗北』。これは日本銀行問題を政治的問題と考える際にも重要な示唆を与えてくれた本でした。おめでとうございます。

官邸敗北

官邸敗北

政治書第13位 上念司さんの『「日銀貴族」が国を滅ぼす』がランクイン。僕は1位にあげさせていただきました。おめでとうございます。日本銀行の問題はすでに経済学の論争の次元ではなく、まともな政策を行わない日本銀行を許してきたその政治的な環境にあることを厳しく指弾した本です。

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

同じく政治書第13位に高橋洋一さん&竹内薫さんの『鳩山由紀夫の政治を科学する』がランクインでした。これも名著です。特に工学的な発想の持ち主であり、合理的な推論の訓練をうけた鳩山前首相がいかに、非合理的なのかが、とてもよくわかった本です。ただ、いまの菅首相にくらべれば、まだ数段、鳩山氏の政策の方はわかりやすいものでした。いまはただのオカルト経済政策だと思います。

しかしリフレ派の本が40冊のうち7冊。かなりなウェイトです。皆さんの支援のおかげです。ありがとうございます。