大卒内定率80%

 ある意味で予想された結果が大きい数字ではでていると思う。政府や日本銀行にとっては若者の雇用は実はほとんど政策目的に含まれていない、ということは「常識」として理解しておいたほうがいいだろう。特に後者の機関は、このまま若者の雇用が悪化すればそれを景気の長期悪化よりも、なんらかの日本の構造問題にすりかえることになるだろう。これは陰謀でも感情的な議論でもなんでもない(バカがそう思うだけだ)、過去の就職氷河期においてもかの機関は「良いデフレ」「金融政策は構造問題を代替できない(=いまは構造問題なので金融政策は意味をなさない)」「預貯金の減少が深刻(=若者雇用よりも高額預金者が心配)」と国会でもあらゆる機会でも発言していた総裁・副総裁がいまのトップであるからだ。彼らが在任しているかぎりそのような詭弁が、日銀よりのマスコミから垂れ流されるのは、アホでもないかぎり周知の事実である。

 さて久しぶりのブログ更新でアホだバカだと大変だが、正直にいえば怒っているからである。たびたび書いているが、すでに日本銀行を経済学で分析することにはとうの昔に断念している。つまり経済学でなくても、ちょっと過去のデータや彼らの発言を相互に照らし合わせて、常識で判断すれば、おかしなことが目白押しだからだ。いつ頃からそうなったのか考えてみると、ちょうど白川総裁がまだ理事だったころに国会でデフレによる預貯金の減少を報告し、それが日銀の量的緩和解除の「地均し」として報道されたころからだろうか? まあ、情けない限りである。

 ところで政府の動きはどうだろうか。菅大臣の口先だけのリフレ介入のレベルであり、また日銀の政策委員の国会同意人事案件をみるに、まったく日銀の推薦レベルの「産業枠」である。環境プロパーをいれれば政権が喜ぶとでも思ったのだろうか? 少なくともこんどの案件対象者には僕の知る範囲ではまったく金融政策への理解も問題意識もない。まあ、それでもいきなり政策の場でまともなことをいう可能性まで否定できないが、なぜこの場でこのような案を政府が同意してしまうのか、先の宮尾氏の案件とともに、結局、政府も若者の雇用、もちろん雇用全般にもまったく関心がないこと、それを日本銀行との協調で行う意思がとぼしいことは、百の口先リフレ介入よりも、ひとつの具体的な行動をみれば明らかである。

 いまのままの政権と日本銀行の政策スタンスでは、今年が本当の就職氷河期セカンドのはじまりであることはもう間違いない。