『理論劇画 マルクス資本論』&紙屋高雪『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』

 赤間さんが数ある資本論マンガの中でもわりと勧めているので読んでみた。マルクスが子どもたちのお馬さんになっているところが萌えのツボですか? あるいは、たぶんマルクスファンには感動的なエピソードであるはずの、マルクスのためにエンゲルスが経済援助のために嫌っていた父親の商売に貢献するところ。これに対してマルクスが次のように感謝するところが描かれている。

「僕のための君の献身がなかったら僕はこの途方もない仕事を三巻にまとめることはできなかった……

 感謝に満ちて君を抱きしめる!!」

と髭だらけのマルクスのおじさんが、さあ、胸にとびこんでおいでとばかりに、両腕をひろげて笑みをたたえている姿がマンガになると、これはもうマルクスエンゲルスのBL(ボーイズラブ)じゃね? となってしまうところが、マンガの面白さ、恐ろしさであります。

理論劇画 マルクス資本論

理論劇画 マルクス資本論

 さてこの資本論マンガの構成・解説をした紙屋高雪氏の評論集もついでに読みました。社会意識反映論にたつとかいうそうですが、正直いえば、そんなに気にしなくても普通のマンガ感想集、そしていくつかの時論で構成されてます。『孤独のグルメ』、『きみはペット』、『リアル』などについてのエッセイは面白く読めましたが。何か得ることができたのかといえば時論的な要素も特に切れ味がいいとはいえません(わりとネットで愛されてる『脱貧困の経済学』登場以後ではもはやネットレベルでも失効しつつあるような話だと思います)。同時収録されてるきあ氏のマンガが好きですね。

オタクコミュニスト超絶マンガ評論

オタクコミュニスト超絶マンガ評論