中川淳一郎「今ウェブは退化中ですが、何か?』

 中川さんから頂きました。ありがとうございます。アルファブロガーは人気ラーメン店で行列する人と同じ=暇人仮説を『不謹慎な経済学』で書いたことのある僕には、中川さんの前著『ウェブはバカと暇人のもの』には賛同するところが多かったですね。今回の本もその基本的な主張は賛成します。本書はウェブよりもリアルの学習や付き合いの方が本人の幸せや利益にも結びつくということを最後のメッセージに持ってきていますが、僕もそう思っています。他方でネットの効用もあるでしょうが、それは僕にはきわめて限定的なものに思えます。とはいえこの感想もネットで書いているわけですがw。

 どうでもいいことですが、本書は縦書きの本としては日本で最も連続するwを書いた本じゃないでしょうかw(193ページ参考)。

 さて本書のネットの限定的な評価を集約しているのが次の中川さんの発言でしょう。これの心のどこかに自分もあるのは否定できないですね。基本的に議論よりもネットでは情報収集や情報交換が効率がいいように思っています。

「ネットの上の匿名のネガティブコメントを鵜呑みにしないでください。
悪くかかれても、そこに妥当性がなければ華麗にスルーしちゃってください
なぜなら、書いている人たちは、別に深い思慮があって書いているわけではないから
単なる暇つぶしか、自分の頭をよく見せたいだけですからこっちが本気になる必要はないですよ
なぜなら、そこには「公」の概念が希薄だし、発言者には「責任」が伴っていないから
発言に責任を伴わぬ匿名人間との言論バトルは、完全なハンディキャップマッチ
そんな不利な勝負の土俵に上がる必要はない」(51-2)

 ネットを中心に情報をとる人は批判している本をもちろん読みもしないで批判する傾向が強いことが書かれています。せいぜい立ち読みかあるいは実物を手にすることもなく、本の題名、著者の履歴や属性、あるいは目次やほんのささやかな断片などで、あとは感情でふくらませた批判をする、ということを僕もいままで繰り返し目撃しました(こういうことを書くとはてブなどで「だれだれさんのこと」などとご丁寧な注釈がつける人もいますが、僕からするとそういう行為もヤレヤレという感じなのですがw)。これもよく経験します。今度の就職本も発売前の憶測から始まりろくに読んでないのに自分の体験で感情的な批判をするなど、本当にそういう意見はいやになりますが。そういう嫌の体験をしたリアル筆者wの人たちは本書を読むことで溜飲を下げるかもしれませんね 笑。