カラスさんに過疎ブログの方で教えていただく。『大航海』を買ったのはたぶんこれで二回目で、前回は10年くらい前、しかもこれがよくみたら「終刊号」か。
栗原さんの論説は、宇野常寛氏の『ゼロ年代の想像力』への厳しい批判である。詳細はぜひ読まれた方がいい。
(略)宇野のいう決断主義は要するに能動的ニヒリズムだったわけだが、それに対する処方箋は、実存を賭けた「小さい物語」同士のバトルロワイヤルの彼岸とかそんなものではなく、政治経済レベルでこのたびの不況ならびに金融危機が回避されるか否かという水準で議論されるべきことだ。八〇年代並みの成長率が取り戻されればそれで解消してしまう程度の「ニヒリズム」にすぎないのだから(それが果たして「ニヒリズム」と呼べるべきかとうのはさておき)。
栗原さんも指摘されているように、宇野氏が昔から繰り返して使い古されている認識をそのままベタに利用しているのにもかかわらず、そういったベタな利用を「新しい=ゼロ年代想像力」と主張していることが、僕にも大きく疑問に思えたところだ。もっと簡単にいうと、現状認識が単にそこらにごろごろころがってるシナリオ(グローバル化での構造的変化だとかそんなもの*1)に乗っかっているだけ。シナリオがダメなのに、「この細部=さまざまなサブカル、オタクネタは面白いでしょ?」ととくいげに羅列されても、そこには何か決定的に、著者の思想的な鈍感さを感じてしまったわけである。思想的な鈍感さでわかりにくければ、ただ単に現実の政治経済への無関心と不勉強さの露呈かな。
もっと詳細で丁寧な批判は、栗原さんの論説を直接読まれたい。僕の以下のものより読んで格段に勉強になるから。
参考
http://blog.goo.ne.jp/reflation2008/e/613f7854fe7aa43d25fd756e2c668a7e
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*1:それって何? と考えたことさえもおそらく宇野氏はないだろう。そのシナリオに乗っていながら