メビウス『アルザック・ラプソディ』

 以前に見たことあるけれども、メビウス論を書いている諸事情から、この新版を購入。TVのシリーズで全部で14話からなる。冒頭と終わりのタイトルを抜かすと本編はほんの数分。全体でも40分ぐらいしかない。前みたときも大して面白いとは思わなかったが、今回はメビウスの作品をそれなりに消化してから見たので、別種の興味はひいた。つまり好事家か、もしくは暇人か、あるいは研究者か、この三者以外は見ない方が時間の無駄を回避できるだろう。しかし原作のブラックさがなくなり絵も新鮮味がない今となってはこのアニメはただ苦痛か自己満足のみ一般の鑑賞者に残るような気がするんだけど……推薦している大友克洋らの言葉がやたらむなしくなる。

あと特典映像もないし、なんらなの解説冊子みたいなおまけもない。こういうのは手抜きか安易な再発といわれてもしょうがないだろう。どうしても見たい人は、旧版をレンタルできるならばそれですませるべき。

(付記)あとメビウスのBDベースの衝撃の理由だった奥行きのある空間、飛翔感みたいなのはまったくこのアニメからは感じられず、むしろ切り絵的な平板な感じ。これもある種、驚くべき対照かも。