中川秀直の眼:なぜ過去最悪の失業率5.5%を目標にするのか?

中川秀直氏の視点は妥当でしょう。不思議ですが、本ブログでもすでに以下と同じ点(過去最悪の失業率を目標とするのは間違いhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090331#p1)を指摘していました。理性的にみれば当たり前なことなのです。就職氷河期や中高年の長期失業が深刻をきわめた数値を目標にするとは呆れてものがいえません。

http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10240020696.html

わたしは「雇用第一」の観点から、失業率が過去最悪の5.5%を目標とすることには疑問もある。4%台でなければならないのではないか。こうした視点から、必要と判断されるならば、さらなる追加的な措置の検討も必要であると考えるが、その控えめな5.5%程度の失業率に抑え込む対策にすら、「大判振る舞いが過ぎる」とはどういうことなのか。

この社説は、新経済対策は規模が大きすぎる、財政再建に着手しろ、と読み取れる。6月頃から議論されるであろう大増税議論において、大増税に賛成するのであろうか。それなら一貫性がある。

しかし、私は、100年に一度の危機において、大増税の議論をすることは間違いであると思っている。世界大恐慌下で金解禁をしたのと同じくらいの間違いであると考える。

 問題は、実は読売新聞の社説でも朝日新聞の社説でもないのです。今回の失業率5.5%が目標みたいな、常軌を逸した「目標」を、内閣府の岩田一政氏が言い出したことが問題です。しかも岩田氏はまだまともな方で、経済財政諮問会議の面々の多くはオール不況の下での増税が本音です。政策当事者と経済のプロがそんな理性的でない発言をしているのですから、新聞記者たちがぶれてしまうのはいたしかたがないでしょう(残念ながらいまの経済関係の新聞記者にプロの経済学者を実証的な見地から乗り越える筆力を求めることは完全ではないものの、ほぼないものねだりです)。ただ経済学以前の理性をはたらかせればわからないものでもないのではないでしょうか?

 麻生政権の追加経済政策については、すでに規模の点でふれましたのでご参照ください。

 大型補正予算でも小出しの罠:http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090407#p1

 ちなみに財政政策も金融政策も、規模を十分に大きくし、そして期間も4〜5年(実際には経済状況次第なので何年という設置自体原理的におかしいのだが)と長期にすえてやらないかぎり、まさに朝日新聞の社説が書いているように、孫や子の世代に負の遺産が継承されるでしょう。

 しかし、この中川氏のブログは、はてなアンテナに登録すると、秘書の人のエントリーがはいってきちゃうのか? 中川氏と秘書の人のエントリー完全にわければいいのに……ということをとりあえず改善というか、どこにアンテナ張ればいいのかとか(違うサービス間でむこうも困るかもしれないけれどw でもはてな側には経済系や教育分野で明らかに他のブログサービス群とは比較にならない質・量を備えているから、こちらを意識しても損はないはず)、中川ブログにメールした。いままでそれでアンテナにいれるのやめてたので。