「再検討」というほどでもないですが。はてブでdaruyanagiさんが、「外的ショックで千々に分断された経済ネットワークの修復に、リフレって役立つんだろうか」ということを書かれていました。もしこの外的ショックでの経済ネットワークの分断仮説を、かっての小林慶一郎・加藤創『日本経済の罠』で展開されていた「ディスオーガニゼーション」仮説であるとみなせば(そのdaruyanagiさんが参照求めている人のものは読む気がしない*1)、以下のようなことをかって野口旭さんと僕の共著『構造改革論の誤解』(東洋経済新報社)で書きました。簡単にいうとディスオーガニゼーションという状況分析自体が誤っているので、誤った状況判断にリフレが効果あるかどうかは問いにならないと思っています。以下の引用をご参考ください。
ところで、小林・加藤両氏は、その独自の見解として、「ディスオーガニゼーション」という、不良債権による新たな負の効果の存在を主張している。これは、過剰債務によってもたらされる企業相互の疑心暗鬼として生じる。企業間の経済取引ネットワークの分断および崩壊のことである。こうした現象の最も典型的な実例は、産出量の激しい減少が発生したソ連崩壊後の旧ソ連諸国である。小林。加藤両氏は、日本においても同様の事柄が生じていると主張するのである。
結論的にいえば、こうした見解の妥当性はきわめて疑わしい。というのは、もし日本のGDPの減少がこのディスオーガニゼーションの結果であれば、そこで発生するのはデフレではなく、インフレないしスタグフレーション(産出低下のなかでのインフレ)のはずだからである。実際、ソ連崩壊後の旧ソ連諸国で生じたのは、急激なスタグフレーションであった。スタグフレーションの結果として、総供給は縮小したのである。略 しかしそれは所得の減少が激しい物価の下落をともなって生じている日本の状況とは、まったく結びつかないのである
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