日本語の勉強ガイド


 掲示板やブログ、そして『ブルータス』などの発言や経済論を解釈する際に重要なのは、すでにブックガイドで指摘したように、論理的推論とちょっとした事実の分析力でした。もちろんその基礎には日本語の文章理解みたいな素養が必要でしょう。ちなみに文章理解と日本語をうまく書く能力は全然違いますし、また読書能力ともずれると思います。例えば小説を読んだり書いたりすることと、論説文を理解する能力とは異なるでしょう。これも10年前にいまの大学で中学2年生前後の英語レベルの学生さんたちを大学院進学指導(W大院に行った人や、あと最終的に税理士になった人もいた)したときに、「ああ、もう少し時間があれば日本語の勉強もしたのになあ」と思った際に、念頭においてたテキストを紹介。


 仮に小学生4,5年生レベルの日本語能力であるならば(実際にそのレベルの人は大学生でもかなり多い。ためしに小学生の問題集をどれかやってみればすぐに自分の実力を把握できる。そしてこの実力の把握を恥ずかしがらずにしておくのが重要かつ勉強の早道ですね)、工藤順一氏の一連の書籍が非常に役立ちます。さすがに工藤氏の国語教室に当ブログの読者がリアル小学生と一緒に勉強することは不可能でしょうから以下の本を読んで自学するしかないでしょう。ちなみにこれは留学生でしたが、以下の本にやり方が載っている工藤氏のコボちゃん作文を実践させて大学ノート数冊をつぶした人がいました(大学院に行きました)。


国語のできる子どもを育てる (講談社現代新書)

国語のできる子どもを育てる (講談社現代新書)


 論説文のためには、以前当ブログ(古い方かな?)でも紹介した絶版中の以下の本がベストだと思います。たぶん一日1時間かけてけば一ヶ月で終了します。ただこの本は2,3回は最初から最後までまた反芻していく必要があるでしょう。


http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=13881


 なんでこの本が手にはいらないのか日本の不思議のひとつです。この本に代わるものを探すために僕は身銭をきって20数冊もいわゆる国語のテキスト、問題集や論説の読解法を見てみましたが、どれもスカスカに思えてしまいました。近くのどこの図書館でもいいですがカウンターにいかれてこの本を取り寄せればいいのではないかと思います。



 他に副読本としてはこれがおススメ。読書術とか題名についた本はほとんどが読書がむしろできなくなる本か著者の自己満足ばかりorz


本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)


 漢字は以下のものでいいはず(この原型の使用経験者→田中)

基礎徹底必修漢字800選 (駿台レクチャー叢書)

基礎徹底必修漢字800選 (駿台レクチャー叢書)


 最後に僕の自己満足を 笑。以下の本は編集のときとその後の「ニート」→院生時代と、たぶん20回近くことあるごとに読んでる。多読傾向の僕にしては珍しい。ある企業経営者の人が僕のことを「経済学者というよりも編集者でしょう」と最近指摘されたことは、僕の本質を見事に言い当てていると思う。現代の経済論戦の見取り図や政策の解読を僕は経済思想か思想史の作業としてやっていて、その経済思想・経済思想史の作業自体は広義の編集として自分では理解しているから。

アメリカの編集者たち (新潮文庫)

アメリカの編集者たち (新潮文庫)