「AKB48」大島麻衣の経済学


 「オジサンにミニスカートから出ている足を見られただけでチカンと思う」と発言した「AKB48大島麻衣氏のブログが炎上したというニュースを読んだ。ここで炎上そのこと自体には関心はない。リンク先を読んで興味を魅かれた発言があった。もともとこの発言はテレビの番組内で飛び出したもののようで、出演していた「オジサン」徳光和夫氏が・大島氏に「見られることに優越感を感じないと。オシャレってことは、男に見られたいってことでしょ」と論する様に話したらしい。それに対して、大島氏は、「見られてもいいけど、オジサンにはイヤなんです。どうせなら女の子から『足がキレイだね』とか、そう思われたくて」と答えたという。


 この発言は私のアイドル経済学研究からいっても非常に重要な発言であると思う。この大島氏の発言はミニスカートをはく女性たちの心理と戦略を的確に表現していると思ったからだ。コーネル大学の経済学者ロバート・フランク教授は最近著The Economic Naturalist(2007年)の中で、「なぜ女性は便利とはいいがたく、時には危険をもともなうハイヒールを履くのか」という問題に答えている。


 それは主に同性同士の相対的な高さをめぐる競争の結果である、という。ハイヒールを履くことは、その高さゆえに人を魅了する。しかしすべての女性の靴が同じ高さになってしまえば魅力は失われてしまうだろう。そこで女性たちは少しでも高いハイヒールを履こうと努力する。時には脚や背骨を痛めながらも。フランク教授は、仮に女性達が一致団結して同じ高さの靴を履くことに同意しても、この人よりも高いということがもたらす利益があるかぎりそのような合意は反故にされるだろう、と書いている。


 このフランク教授の指摘を今回のケースに当てはめるのは容易であろう。女性が(稀に男性も)ミニスカートを履くのは、その丈の短さとそれで露にされる足の美しさ(筋肉・骨格のフォルム)が人を魅了するという利益をもたらすからである。


 しかも今回の問題でより重要なのは、その丈の短さはミニスカートを履くほかの女性たちとの相対的な短さに依存しているということだ(相対的依存効果)*1


 このときミニスカートがミニスカートであることを決定しているのは、実は他の女性(≒大島氏の発言の「女の子」)であって、少なくとも「オジサン」ではない。ミニスカートの魅力を決めているのは実は同じミニスカートを履きたいと思っている女性たちなのである。その意味で大島氏の発言は実に興味深いものである。


 なお、ミニスカートの歴史については、ここなどを参照。


The Economic Naturalist: In Search of Explanations for Everyday Enigmas

The Economic Naturalist: In Search of Explanations for Everyday Enigmas


(補)意味不明なコメントは積極的に削除します。時間の無駄ですので悪しからず。

*1:仮に限界まで短いミニスカートをすべての女性が軒並み履いてしまえば、ミニスカート自体のもたらす履く女性たちにもたらす直接的な利益は大幅に減少してしまうことに注意したい