ローゼン閣下


 麻生外相のニート擁護論はいいね。立ち読みで新刊をすませてるわけだけど新書の方だけは購入しようかなあ。以下、一時的に削除するかもしれない草稿、少したったらまた復活予定。

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 社会保険庁年金記録漏れを中心とする問題で、安倍政権のただでさえ脆弱だった世論からの支持は一段と低下し、誰の目にも“ポスト安倍”が現実味を持ち出してきている。ここに来て後継候補の中で一人気を吐いているのが、“ローゼン閣下”こと麻生太郎外相である。書店にいけば、麻生外相の新刊『自由と繁栄の弧』(幻冬舎)、『とてつもない日本』(新潮社)が平積みされ人気を呼んでいる。またインターネット上での麻生外相の人気も相変わらず高い。外相のネット上での愛称である“ローゼン閣下”とは、彼が愛読していると発言した『ローゼンメイデン』というかなりマニアなコミック(少女型人形がバトルを繰り広げる話)から採られたものである。外相のサブカルチャーへの理解は、ネットの「オタク」たちからも熱い視線を向けられている。例えば国際的評価の高いインターネット辞書であるwikipediaの「麻生太郎」の項目では、他の政治活動での貢献を圧して、外相のコミックへの発言が詳細に取り上げられていることからもわかる。以前、ここで紹介したように、麻生外相はまさに中川翔子眞鍋かをり同様にネットアイドルの資格十分なのである。


 外相自身もこのオタク層の人気を意識していて、先の自民党総裁選ではわざわざオタクの聖地である秋葉原に遊説にでかけ、「オタクのみなさん」に支持を訴えたのは記憶に新しい。また国際漫画賞の提唱や、国際会議で議題に関連する日本の漫画を頒布して漫画外交を展開していることも、オタク層を十分意識してのものだろう。


 『とてつもない日本』では、いわゆる「ニート」擁護論を展開し、若者の独自の生き方として積極的に評価すべきである、と言い切っている。ニートを問題視して「ニート」対策を名目に天下り先や予算拡張を狙っている組織の活動が目立つなかで、外相のニート擁護論は、ニートが多いと噂されるオタク層のこれまた熱い支持を得るのに貢献している。 

とてつもない日本 (新潮新書)

とてつもない日本 (新潮新書)

 
さらに日本のインターネットでは、ナショナリズム的な意見が支持を得やすくなっている(もっとも国際的にみてもネットではナショナリズム的発言が蔓延しやすいことが知られているが)。特に“嫌中・嫌韓”などといわれる潮流にネット的なナショナリズムの動向が現れているといえる。麻生外相は、『自由と繁栄の弧』で、独自の小国主義的な外交姿勢を展開している。それは、日本―東南アジア、南アジア、中東、欧州が外交上の連帯を強めることで、大国主義的なユーラシア大陸の諸国(中国、ロシアなど)を“弧”の形で取り囲むような国際主義の輪を作り出す、というものである。外相の真の意図は、対抗的なナショナリズムとは無縁なのだが、それでもネットでは間違ったシンパシーを生み出しているようである。


ところで外相が総理総裁を狙うとして、このようなオタクたちの支持は世論の支持に結び付くのだろうか? いいかえるとオタクたちは票になることが可能なのだろうか。野村総研が数年前に日本のオタク人口を285万人で、市場規模を3000億円程度とした試算を公表したことがあった。もちろんオタクといってもその中身は多様であり、麻生外相が得意(?)とするコミックオタクは、同推計では20万人ほどである。外相がコミックオタクの利権に配慮する政策を打ち出しても、この程度の人数では一国の総理の座を得る上であまり成果は期待できないかもしれない。


もちろん先のニート擁護論に示された卓見―ニートの存在を許さない社会に発展はないーという主張は、オタクだけではなく広く若者層の理解を得ることができるだろう。オタクや若者層はあまり選挙に行かないだろうが、それでもマスメディアは外相のオタクフレンドリーな姿勢や若者への理解を積極的に話題にし、それが国民に好感されるかもしれない。“ローゼン閣下”の「とてつもない日本」戦略が功を奏するか、しばらく熱く注視していきたいものである。

I LOVE JAPAN [ 麻生太郎応援歌 ]

I LOVE JAPAN [ 麻生太郎応援歌 ]

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