- 作者: ポール・オースター,デビッド・マッズケリ,Paul Auster,森田由美子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/10/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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下に書いたスピーゲルマンつながりで再読。相変わらず面白い(評価☆☆☆☆1/2)。原書の最新版ではスピーゲルマンが序文を寄せたらしいですが。
ポール・オースターということでこの記事を思い出しました。
<――……それに比べると脳天気な話かもしれませんが、『シティ・オブ・グラス』のコミック版なんてのが出てしまってますね。とはいっても、見たときは悪い冗談だと思いましたが、実際に読んでみると異様な出来のよさで……
「うん、驚異的だろう。あれを仕切ったのは、ナチズム風刺コミック『MAUS』をやったアート・シュピーゲルマンで、昔からの友達なんだ。最初に話を持ってこれらたときには面食らったけれど、まああいつのやることならまちがいはあるまい、ということで OK を出したんだ。どんなものが出来上がるか興味もあったし。結果はきみの言う通り」
――あのピーターが椅子にじっとすわってほとんど支離滅裂な独白にふけるあたりなんか……
「……感心させられたよね」
『シティ・オブ・グラス』登場人物ピーターは、純粋言語を探し求める父親によって子供時代を一室に監禁されて過ごしたため、通常の会話能力を欠いている。このため、あちこちからかき集めてきたような、繰り返しの多い断片的な借り物のことばで語る。それをアーティストのデビッド・マツチェリは、ピーター自身が次々に変身を遂げる形で表現し、原作の借り物めいたせりふの雰囲気を見事に描き出していた。 >
80年代の後半に日本でオースターの作品が翻訳されて、「三部作」から数作はでるたびに愛読していましたね。一番最後に読んだのが実はこのコミックなわけでしてそれからはかなり遠ざかってしまいましたが…。
ところでこの『シティ・オブ・グラス』のモチーフとジョージ・スタイナーの考え方ってやはり関連するのかなあ。