経済を無理なく理解するにはどうしたら?(経済書ブックガイド2013秋)

 経済問題を最小の時間で、でも基礎体力をつけながら学んでいくにはどうしたらいいのか? 

 1)いいテキスト 2)いい教師(授業、講演などでの出会い)、3)適切な時間配分 4)無理しない

これらのバランスが必要でしょう。ここでは主に1)の「いいテキスト」を紹介していきます。上から下にいくほどレベルアップ。

なんといっても小学生でも読める(でも大人が読んでも面白い)以下の二冊がやはり最も簡単な経済書の地位を依然としてキープしているでしょう。

新装版 レモンをお金にかえる法

新装版 レモンをお金にかえる法

新装版 続・レモンをお金にかえる法

新装版 続・レモンをお金にかえる法

 この二冊を終えたら、次には、この二冊をミクロ⇒マクロの順で読んでいくことをおススメしたい。内容的には中学生レベル。これ以上、簡単でなおかつ面白いテキストはかなり難しい。なによりいいのが著者がきちんとした経済学を専攻している徹底したプロであることだ。
 残念ながら日本のわかりやすい経済書の多くはアマチュアが書いたものがほとんどで、わかりやすさの反面、プロだと絶対に外さないものを簡単に無視したり犠牲にしている。典型的には、経済学の基本原理中の基本である比較優位がほとんどの日本のアマチュア(経済を大学院で学んでいない人たち、ニュースキャスター、評論家たち)の書いたテキストは無視しているか、それにさっとふれる程度である。その点、以下の本はミクロもマクロも基本的な経済学の考え方を笑いもときに交えてはずさない。

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

この二冊以外に、日本人が書いた経済学の超入門書を一冊あげたい。これもわかりやくまた廉価で持ち運びも簡単だ。

ここまでで経済学の入門編は終わりだ。すこし変化球も交えてみよう。娯楽としての読書だ。

まず経済学の歴史を専門家でも知らないようなトピックスを配置して軽快にとばしたものを二冊。経済学の歴史や経済の歴史は、「昔のことだから役にたたない」とかいってるようでもったいない。豊富なエピソードとともに経済の理解に直感的に役立つ。二冊目の補遺は量的に不十分なのでデフレ論争史を補うためにこちらにリストアップした山形浩生さんの『at+』16号論説、田中の『環』論文、『デフレをまず止めよ』(新装版)などの併読をおススメする。

経済学とおともだちになろう

経済学とおともだちになろう

経済学者たちの闘い―脱デフレをめぐる論争の歴史

経済学者たちの闘い―脱デフレをめぐる論争の歴史

さて応用編だ。日本の経済、海外の経済、そしてちょっとユニークな経済本を読んでおいて、ミニ知識までしいれたらどうだろうか?

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源

夜の経済学

夜の経済学

辞書代わりに手元においておくべき本格的な入門書としては、自習に最適なのはなんといってもマンキューの入門書に尽きる。さらに八田達夫先生のミクロ二冊は経済問題にダイレクトに教科書レベルの知見を適用していて刺激的だろう。

マンキュー入門経済学

マンキュー入門経済学