小松左京氏、最後の著述、『3.11の未来――日本・SF・想像力』

小松左京氏がお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。かって10代のころに熱心に小松氏の作品を読んで楽しませていただき、最近では一緒の本に参加させていただけるという光栄な機会が実現して喜んでいたところ、訃報を聞きとても残念でなりません。ここ一月近く、小松左京ワールドの深みと広がりに取りつかれたものとして、この魅力をいろんな人たちに今後とも語っていく所存です。重ねて哀悼させていただきます。

以下が作品社から8月下旬に発売予定で、小松左京氏の最後の著述を含んだものです。大震災以降の日本へのメッセージを伝えた重要な著作です。いまから発刊が待ち遠しいです。

『3.11の未来――日本・SF・想像力』  笠井潔巽孝之監修  海老原豊藤田直哉編  予価:1800円(税別)

【内容目次】

■はじめに
小松左京「序文――3.11以降の未来へ」
目次/趣旨文・編集一同

■第一部 SFから3.11への応答責任
笠井潔「3.11とゴジラ/大和/原子力
【鼎談】笠井潔巽孝之山田正紀「3.11とSF的想像力」
豊田有恒原発災害と宇宙戦艦ヤマト
スーザン・ネイピア「津波の時代のポニョ――宮崎駿監督に問う」

■第二部 科学のことば、SFのことば
瀬名秀明「SFの無責任さについて――『311とSF』論に思う」
【座談会】谷甲州森下一仁小谷真理・石和義之「小松左京の射程――『日本沈没 第二部』をめぐって」
八代嘉美「『血も涙もない』ことの優しさ」
長谷敏司「3.11後の科学とことばとSF」
田中秀臣「物語というメビウスの環」
仲正昌樹「SFは冷酷である」
海老原豊「一九七三年/二〇一一年のSF的想像力」

■第三部 SFが体験した3.11
新井素子東日本大震災について」
押井守「あえて、十字架を背負う」
野尻抱介原発事故、ネットの混沌とロバストな文明」
大原まり子「3.11以降の未来への手紙」
クリストファー・ボルトン「流れ込む、分裂する言葉――3.11以降の安部公房

■第四部 3.11以降の未来へ
桜坂洋「フロム・ゼロ・トゥ・201X」
新城カズマ「3.11の裡に(おいて)SFを読むということ」
鼎元亨「3.11後の来るべき日本」
藤田直哉「無意味という事」

■結語――またはゼロ年代の終わりに
巽孝之

■資料
ブックガイド40作