上念司『「日銀貴族」が国を滅ぼす』登場:日本銀行は政治問題だ

 上念司さんの新刊が登場しました。すでにここで書評は書きましたが、一般読者に日本銀行事業仕分けの対象の筆頭にくるくらいヤバい組織であること、日本の大停滞に深くかかわるのにもかかわらず、いままでマスコミにも政治からもほとんど批判をうけてこなかったために、のうのうとその貴族的体質ー「下僕」である国民がいかに苦しんでも放置するその行動規範ーを享受していたかをわかりやすく描いています。

 上念さんは最近、デフレ脱却議連の会合でこの本の内容を話したことが報道されています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100617-00000030-fsi-bus_all

 ところでその記事の中でやはり池田財務副大臣の以下の発言が興味を引きます。

一方、日銀の独立性について、議連顧問の池田元久財務副大臣は、5月に来日して講演した米連邦準備制度理事会FRB)のバーナンキ議長の言葉を引き合いに、「中央銀行は無条件の独立性が必要なわけではない。政策のゴールは、政府によって設定されるべきだ」と指摘した。

 その政策のゴールにぜひインフレ目標の導入を、そして日銀のガバナンスへの規制(上念さんの本に書いてある第25条役員の身分保障の改正が必要でしょう)をお願いしたいものです。

 さて上念さんの本の主題は、日本銀行問題は政治問題である、というものです。以下は上念さんの本を含む、本屋でてにとることができる日本銀行問題本「三部作」とでも名付けるべきものです。まとめて読んでいただけると幸いです。そして浜田宏一先生たちの本、そして岩田規久男先生の新刊がこれから出てきます。日本銀行問題の理解が深まることを願っています。

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

デフレ不況 日本銀行の大罪

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日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)

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