鶴見俊輔『言い残しておくこと』

 御本頂戴しました。ありがとうございます。今年は僕にとってはマンガ批評事始めの年でした。さらにそれに最近では速水健朗さんのいうところの「デフレカルチャー」への関心が接続してきたと思います。来年は本業と両輪でさらに一層この領域を研究していくつもりですがとりあえずいま興味があるのが実は鶴見俊輔でした。彼のマンガ評論に関心があったわけでこの献本にはとても驚きました。しかもこの鶴見氏の回想の中にはマンガ批評の見地からも見逃すことができない発言があります。

 彼は未来に託すものとして『サザエさん』の作者長谷川町子の生き方にみられる「日本自前のフェミニズム」を重視して一書をクローズしているからです。特に長谷川町子の生き方(もちろん『サザエさん』という作品も含めてです)にストリッパーの一条さゆりの生き方を重ね、その反映としての『アメノウズメ伝』(この本は僕も鶴見のマンガ論への関連で特に重視しているものです)とも交差させています。鶴見の演芸論、また彼の母親との関係などを踏まえると興味は尽きません。

言い残しておくこと

言い残しておくこと

新版『WATCHMEN』

 御本頂戴しました。ありがとうございます。すでに原書、旧版を所持していますが、この新版は付録も違いますし、なによりケース付なので豪華な感じですね。なんでもかなり売れたとかで、アメコミ人気にいまのアラン・ムーア人気がドッキングして波及することを期待しています。しかし今年は本当にアラン・ムーアの年になりましたよね。まさか日本で翻訳を読めるとは思わなかった『フロム・ヘル』がまさかにみすず書房で出る。そして『TOP10』もつつがなく1と2が出る。さらに来年早々には『キリングジョーク』が新装版でやはり出るそうです。個人的には『ロスト・ガールズ』と『プロメシア』が出たらいいのになあ、と思っています。またそろそろ誰かがアラン・ムーアの研究を書いてもいいのではないでしょうか? 

2009年今年読んで感銘したマンガ本ベスト10

去年はこんな感じでしたhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081220#p2。今年は去年の『劇画漂流』や『パノラマ』みたいな大作がなく小粒な感じでした。以下は順位不同で思いだした順番。今年は翻訳ものもあり。

ちなみに『このマンガを読め!2010』(フリースタイル)、『このマンガがすごい2010』(宝島社)を見ると、面白いことに『パノラマ島』は去年も今年もほぼ選外の扱いw。あと確率的には無理目なのは承知で、この二冊ででてきた人たちのベスト5と僕のベスト10で共通するものが多かった人を探したら、それはおしぐちたかし氏と高橋修氏。僕がベスト20までつくればもっと同じ趣味の人を見つけることができるかもしれないけど。あと川原和子さんから頂戴した『センスオブジェンダー マンガスペシャル』は川原・永山薫金田淳子の座談が面白かった。というか暇なたわごととして傑出しているw

以下は僕のベスト10

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