日本銀行はいつまで場当たり的な政策を続けるのか?

 日銀、社債1兆円買い入れ/政策金利据え置き
 http://news.shikoku-np.co.jp/national/main/200902/20090219000260.htm

 金利の引き下げをしないことで短期金利のあり方が歪んでいるのはさておき、今回注目したいのは以下のところ。

 社債の買い取りは、9月末までの時限措置とする。発行企業が倒産すれば損失が生じるため、残存期間1年以内で格付けが「シングルA相当以上」の社債に限定する。

 社債などを担保に低利で金融機関に資金供給する公開市場操作「企業金融支援特別オペ」と、CPの買い入れは、いずれも9月末まで延長する。4月末としていたドル資金供給も10月末まで続ける。

 ドルの資金供給もどんどん延長し、たぶん社債、CP買取を含めて、またもやそのときそのときの情勢次第で先送りないし、打ち切りをするでしょう。こんないいかげんなコミットの仕方をしていてはいけないのではないか? たぶん日本銀行の発想は、経済全体が安定するというわけではなく、あくまでも当面の資本市場の安定化でしょう。目的がともかく景気対策ではないようなので、最初の地点から疑わしいのですが、さらに疑わしいのはこのように資本市場の顔色をその時々で伺って随時期限を延長する思想です。わかりやすくいえば場当たり的な政策ですよね。まあ、まさに特定の資産動向だけみた裁量政策100%全開ですが、この種の中央銀行にはもはや何をいっても国民のことは考えて動いてはくれないでしょう。

柳川範之『独学という道もある』

 柳川氏の多くの本がそうであるように、クセのない淡白な本である。正直、面白くなかった。もちろん本書のメッセージである「さまざまな生き方がある」ということは本当である。それを否定する材料を見出すことは難しいだろう。例えば本書でもそのさまざまな生き方のひとつとして強く推奨されている、いったん社会にでてからまた大学にいったほうが自分に何が欠けているかわかるのではないか、という生き方も理解できるし否定のしようもないことだろう。なんといっても僕がそうだからよくわかる(もっとも大学ではなく大学院だけども)。

 柳川氏の経験もすっきりとして読めるし、彼と似た人生(さまざまな生き方があるが人はどこか似ている人生を送るのもまた真理であるだろう)をおくる人への勉強上のアドバイスもいくつかあるだろう。しかし何かたりない。しかし、あとは読者自身がその淡白感のあるなしを判断するしかないだろう。

(追記)エントリーをあげてから気がついたが、赤間さんが本書のレビューを書いていた。http://d.hatena.ne.jp/akamac/20090217/1234879686
それを読んでようやくわかったが、僕が本書を淡白だし面白くなかった、と思う理由は、「どんな就職経験があろうと関係ない大学院や学界かどうか,いい論文さえ書ければ十分評価されポストがえられているかどうか,いくらでもケチをつけられるが」というところなんだろう。いわば成功者の美談であり、「」に書いたようなことの省察がない中で、自身の成功談を書いていることへのしらけた感情なんだろう。それは大学院や学界やジョブポストやあるいは大学院卒の就職の現状をよく知らない中高生に本書を読ませることは事実の大半を隠していることに他ならないからである。

独学という道もある (ちくまプリマー新書)

独学という道もある (ちくまプリマー新書)

池田発言で迷惑なこと

 池田信夫氏の発言で僕がもっとも迷惑だな、と思うことは、彼がアゴラで「最後のリフレ派」と僕のことを書いたこと。これは端的に事実誤認もいいところだけど(ちなみにリフレについてはこのエントリー参照)、さらに僕にとって困るのは、(何度も書いていることですが)僕はいつでもこのブログをやめるつもりでいるわけです。それがいまこの瞬間かもっと先かはわかりませんが、そのときに池田氏の発言を読んだ人とかでひょっとしたら「最後のリフレ派もついにブログを閉じて敗走した」などと思う人もでてくるかもしれません。 それは非常に嫌だ 笑。だもんで、彼がアゴラにああいうことを書いたことで、なんかもう毎日ブログを書くことが意地になってきた側面があります。つまりこのブログが続くのは、逆池田効果ゆえです。悪しからずw。

次回作は三月第一週に

 NHK出版の生活人新書の一冊として出ると聞いています。まだネットではどこも情報がないのでここでも題名とかは書きませんが、テーマは「雇用問題」です。特に、ごく最近までの雇用に関する話題を、世界金融危機の中で位置づけて語り下ろしたものに、さらに最新の話題を書き込んでいくスタイルをとりました。結果としていままで書いたものの中で一番読みやすいものになっているはずです。また詳細は、後日ここでお知らせいたします。