通貨発行益の基礎文献

 政府紙幣スタンプ・スクリップ、ヘリコプターマネー、埋蔵金などなど。この論文読んでから何かいわないとダメな悪寒。

 Buiter, Willem H. (2007) Seigniorage

In this paper I analyse four different but related concepts, each of which highlights some aspect of the way in which the state acquires command over real resources through its ability to issue fiat money. They are (1) seigniorage (the change in the monetary base), (2) Central Bank revenue (the interest bill saved by the authorities on the outstanding stock of base money liabilities), (3) the inflation tax (the reduction in the real value of the stock of base money due to inflation and (4) the operating profits of the central bank, or the taxes paid by the Central Bank to the Treasury. To understand the relationship between these four concepts, an explicitly intertemporal approach is required, which focuses on the present discounted value of the current and future resource transfers between the private sector and the state. Furthermore, when the Central Bank is operationally independent, it is essential to decompose the familiar consolidated ‘government budget constraint’ and consolidated ‘government intertemporal budget constraint’ into the separate accounts and budget constraints of the Central Bank and the Treasury. Only by doing this can we appreciate the financial constraints on the Central Bank’s ability to pursue and achieve an inflation target, and the importance of cooperation and coordination between the Treasury and the Central Bank when faced with financial sector crises involving the need for long-term recapitalisation or when confronted with the need to mimic Milton Friedman’s helicopter drop of money in an economy faced with a liquidity trap.

 それとこれも読まないといけないか。この二本と矢野さんの資料を読んで今日は終わりそうな予感

Laurence Ball(2008)Helicopter Drops and Japanfs Liquidity Trap
http://www.imes.boj.or.jp/english/publication/mes/2008/me26-7.pdf

 しかしこのBuiter論文を読むと(日本銀行の積極的な協力は期待できない中で)埋蔵金を使った定額給付金というバラマキ=ヘリマネ政策が、日本ではいかにおいしい政策だったかがわかるなあ。結果的に、今度の麻生政権のわずか2兆円での迷走ぶりで、国民の自己欺瞞的態度(給付金はダメな政策だが、同時にもらうと使うし嬉しい)を強化してしまっただけか。本当にもったいない。

川原和子『人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた』近刊

 マンガラブーhttp://mangalove.seesaa.net/article/114038812.htmlの川原和子さんの新刊告知。まだかなり先(三月二三日)ですが、ぜひ皆さんの脳裏にインプットお願いします。そもそもマンガについては、10人くらいな人が僕の脳内ソースでして、その中でも僕には毎回未知な作品を教えてくれるのが、川原さんとあと伊藤剛さんです。もちろん海外物では小田切博さんと小野耕正さんの紹介も欠かせませんが。その川原さんのデビュー作ですので期待も大きいですね。

http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001958

 ところで某研究会に始めていくのですが、とここまで書いたらちょっと所用なので続きはまた後で…

 (続き)ということで所用終りで続きなんだけど、何を書くつもりだったのか、大したことじゃないからスルーということで 笑。画面をひらいたらなぜか山形さんがラオスでコオロギたべてる話http://cruel.org/other/rumors2009_1.html#item2009021001がでてきた。わりと僕ぐらいの世代まではスーパーでイナゴとか蟻とか買って来てたべた経験あるから大して違和感ないでしょう。それと年内にできれば完成したいある本の中のある部分では、昆虫でももっとすごいものをすごい目的でたべてた同居してた阿呆の話がでてくる予定ですが、まあ、それはまた今度……

モハメド・エラリアン『市場の変相』

 献本いただきました、ありがとうございます。まだ店頭にはならんでないのですね。フィナンシャル・タイムズ2008年度ビジネス・ブック・オブ・ザ・イヤーに輝く本で、今般の世界金融危機を「予測」したものとして評価の高い本です。このエントリーで断続的に内容を簡単に紹介するつもりです。

amazonではまだみたいなのでbk1へのリンクで

http://www.bk1.jp/product/03084481

麻生政権は一刻も早く退場せよ(『Voice』三月号感想とともに)

 『Voice』三月号頂戴しました。どうもありがとうございます。この号の連載陣をみるとリフレ派雑誌じゃないか、と思ったりもします。高橋洋一、若田部昌澄、山形浩生、上野泰也さんらの連載は毎回面白いですね。それと今回は、政治マターとして、麻生政権の官僚支配政治という切り口で、高橋さんの連載と長谷川幸洋さんの寄稿がほぼ同じ視点から麻生政権を批判しています。


 それに関連してですが、最近の麻生首相郵政民営化見直し発言の迷走ぶりをみても、やはり財政再建派というのは、増税をして政府のムダな体質を延命させるしょうもない路線なんだなあ、と思いました。興味深いことなのですが、清算主義的な人たちもこの財政再建派と非常に近いのです。これはもうひとつの某雑誌の絶滅特集(笑)に対するドラエモン氏の「ブログ」での発言をいま読んでふと思い当たったことでもあります。ここらへんの脈絡はそのうち考えたいと思います。なにか見解あればご意見お願いしますね。


 さてそんなわけで財政再建派というのが、単に財務官僚を中心とする官僚たちの既得権(もちろん政治家が主導していることは疑いもありません)を守ることにあるのならば、そんな政権は不用ですね。不況での消費税増税への固執、そして郵政民営化見直しや種々の規制強化の動きなどのこれまた不況対策とは無縁なものへの力瘤も、ほとんどこの既得権の保持ということで説明がつきますね。まさに不況に隠れてムダな政府ができあがるということがよくわかります。むしろこの動きを加速させるためには、景気対策は不十分なほうがいいのでしょう。そこで日本銀行との不況対策の協調の失敗も説明できそうです。


 大部で高価ですが、ぜひ以下は読まれることをおススメします。いまの日本の状況と、麻生政権の退場こそ日本の国民全体にとって利益になることが理解できるかと思います。

 なおでは次の政権はどうするか? ということで『Voice』の若田部さんの民主党への厳しい注文は注目されます。民主党に脈々とある「不況での金利上げ」論者への牽制ですね。必読です。

セイヴィング キャピタリズム

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