困ったときの小野頼み

 小島寛之さんのブログより:http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20081224/1230111860

 まあ、小島さんが「現実をみてない小島」の類の批判をされたら、100%の確率で小野先生の理論を持ち出すと予想したのですが、その通りでした 笑。

 小野先生の理論はいいんだけれども、小野先生の体系って一種のガラパゴスみたいなものでしかないんじゃないかなあ。すでに理論の進化というよりも現実の進化に適応できてない、というか*1。その現実と小野理論の齟齬ですでに、小島さんの期待しているような「現実をみてない小島」を否定することができないんじゃなかろうか。

 いま東京にいて群馬の研究室に小野先生の『景気と国際金融』があるので直接参照にできないけれども、簡単にいうと小野理論の一種の破綻が凝縮されているのは、開放体系になってからで、ここで僕にはよく理解できない話がいろいろでてくる。もうだいぶ前に読んだので誤解釈している可能性が高いことを予めお断りしておく。だからネタエントリーなんだけどなるべく誤解釈は早めに修正する。例えば小野開放理論体系では、実体経済を大きく上回る国際間の資産の取引に焦点を大きく当てていた。これは当時としては先駆的な視点だったと思うし、閉鎖体系の方と照応する。で、いま僕がいった理論の進化というよりも現実の進化に適応できてないのではないか、というのも実はこの点にある。

 いま素朴な観察によれば、明らかにドル円レートでとりあえずみておくと、円高ドル安に触れると株価はほぼ下落基調になる(不安定に変動する)。これはかなり長期に観察できる現象になっていて、(ここは素朴な観察とはかぎらないが)しかもアメリカと日本の政策金利の水準ではなく金利の方向性に反応しているようだ。これは日本がデフレ方向に引張られていくとみてもいい。

 ところが小野開放体系では、確か円高ドル安になれば株は上昇してしまう。いや、株だけでなく物価水準だったかな。円高ドル安傾向が定常的な(定常的かどうか、ここ曖昧)インフレ状態と確か共存してしまうんじゃなかったかな。これってまったく現実と適応してないように思うんだよね。

 小野先生の理論を多くの人は閉鎖体系にのみ焦点をあててるんだけど、僕は小野先生の理論の僕からみておかしなところはすべて開放体系に集約されているように思えるんだけど。そこんとこどうなんだろうか?

(注記)もっとも記憶曖昧で書いているので僕の誤解釈の可能性があるので、あとで確認して間違えてたら、ここで小野開放体系を少し考えるスレに変更したいと思うw

景気と国際金融 (岩波新書 新赤版 (660))

景気と国際金融 (岩波新書 新赤版 (660))

*1:閉鎖体系の議論でも、世代交代効果をアキハバラ効果みたいなものに求めてたし、あと産業政策的なものに期待する現実的な根拠の乏しさもしばしば批判されてきた