ネットの知らない話題&経済系女子文化の不在


 松山での体調不良からまだ回復しきっていないのがなんなのでうだうだ書く


 ちょっと前、ある人が「リリカって山形さんなんですよ」*1といっていたのだが、僕は第一、リリカって誰? という感じなわけなのであった。とりあえず関連するブログを本日たまたま読んだ。そういう人なのか。実際にあまり興味がわかないのはなんでなんだろう。その時代というか瞬間を共有していないからなのだろうか。まあ、ともかくリリカ現象よりもyucoブログの方が知らないことが多く書いてあるのでアンテナに加えさせていただきました。この人のブログでの映画鑑賞の選定が完全に中央線南側文化に属しているのも興味深い。この映画鑑賞圏の断層は個人的には子どもの頃(70年代前半から)実に深刻な問題で、僕のような人生の大半を練馬ー埼玉に住んでいた(いる)ものには、中央線の南側へ映画を観にいくのは機会費用が高すぎるのである。これを今度の副都心線が引き下げてくれることを期待している。


 それとyucoブログには数日前、相沢紗世はてなキーワードから辿って、この記事を読んではじめて存在を知ったのだか(いや、前にも読んだかもしれないけれども記憶白濁)、この一文「元々こういうアンチ主流女子文化を受け入れていたのははてなダイアリーだったのだろう」を読んで、はてな界隈でアンチ主流女子文化でなおかつ経済系女子文化(はてなにかぎらなければ近い存在として株・ファイナンス系女子文化というのが歴然と存在している しかしこれは僕の脳内経済系女子文化ではない)があるのだろうかと思った。たぶんない、な。あったら面白いけれども、なんで面白いのか自分でもわからない 笑。

*1:違うということで決着しているぽい

須田泰成監修『笑論ーニッポンお笑い進化論』


 これまた献本いただく。ありがとうございます。この本はいいー! なぜならお笑い界をサンプルにした労働経済学の副読本としても使えるかもしれないからだ。すでにこのエントリーでも紹介した「一発屋の経済学」でも書いたが、芸術家における二つのキャリア形成(一発屋=早咲き型と大器晩成型)があって、一発屋型の芸術家は直感型ともいえて自分の芸術的創造を「見出す」タイプ、そのため比較的キャリアの初期に頭角を出す。他方で後者の大器晩成型タイプは試行錯誤を繰返して自分の成果を構築していく人たちでキャリアの比較的後半に業績を残す人ともいえる。

Old Masters & Young Geniuses: The Two Life Cycles of Artistic Creativity (Evolutionary Biology)

Old Masters & Young Geniuses: The Two Life Cycles of Artistic Creativity (Evolutionary Biology)

『笑論』での一発屋の分析は、ブームの中での一番手、二番手に注目して、一番手にいたものはブームの終焉とともに人気がなくなるが、二番手こそ持続的に活動できている、ことに注目している。またブレイクした芸にその芸人自体が同一化してしまうことが一発屋の特徴であるが、二番手芸人の多くは芸そのものはあくまでも引き出しの一つでしかないこと心得ている人が多いという。


 このことを上記一発屋の経済学を利用して考えると、一発屋の芸術家の多くが芸術史に残るエポックメイキングな作品を残してそれとともに終わっている(=芸が主で人は副)、それに対して大器晩成型は試行錯誤過程で残した多くの作品があるだけでありいわば人が主で芸が副になっている、といえる。試行錯誤の経過は傍観者からみれば芸人の引き出しの多さに見えるのだろう。


 本書は笑いの世界が日本のメインカルチャーとしてどのように形成されてきたか、を知る上でも貴重な記録となっている。


笑論─ニッポンお笑い進化論

笑論─ニッポンお笑い進化論

高月靖『南極一号伝説』

 
 献本いただきました。どうもありがとうございます。しかしこれは家人の前でも外でも読めないよ。こっそり隠れて読みますね 笑 関連するエントリーはここでした。

南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

早川いくを『取るに足らない事件』


 献本いただきました。どうもありがとうございます。この本は昭和20年代という占領下で、いまだ混乱にあった日本の当時も取るに足らない事件を再発掘し、いまでもやはり取るに足らない事件であったことを紹介するという稀有な本です。しかもこれを読むと戦後日本の状況が取るに足らない形でなんとなくわかるという歴史の副読本としても格好の教材です。イラストも力作であり、その綿密な取るに足らない事件の蒐集範囲でも傑出しています。「地下道坊や」「殺人光線」「万引機械化」「ノド自慢強盗」「無銭飲食株式会社」「幼稚な宝くじ偽造」「ワラ人形に呪いの釘 忍びの名人捕まる」などなど、一読それ以上発展のしようがない事件の数々に読者は脱力してしまうだろう。


取るに足らない事件

取るに足らない事件

大学犬、はなちゃんに会えず


 一昨日から一泊で松山に学会のために行きました。が! 着いた日の夜に食べたものがおかしかったのか、その日の夜中から体調がおかしくなり翌朝ホテルを出ることが不可能になり、予定していた報告のほとんどを見ることができませんでした。なんとか気力を振り絞り、帰りの飛行機と折り合う最後の報告だけを拝見することができたのはなによりでした。賀川豊彦についての報告で、頭にすうっと入る内容でした。今後の研究にいかしたいと思います。というわけで実はいまも体調が悪いのですが、akamac先生はじめ多くの方に久しぶりにお会いできたのはなによりでしたが、大学犬はなちゃんのことをすっかり忘れていたことに帰宅してから気がつきました。ああ、残念。

http://d.hatena.ne.jp/akamac/20080515/1210844495


 大学犬といえば国際的にはマンキューのケインズ犬が有名でしたが、はなちゃんはそれを凌駕する位置にいますよね。経済学者は犬や猫が大好きで、僕は個人的なトラウマから自分で飼うことはこれからもないとは思いますが、それでも猫の本を書くほどには動物が好きなことも確かです。犬については、かの経済学教科書の名著ヘンダーソン&クォント『現代経済学』のクォントが訳した以下の本を一部分読んだことがあるのですが、犬が人の心を理解しコミュニケーションを行ってくれるのか、それともそれは人間の過度な願いなのか、永遠のテーマでしょうね。

If Dogs Could Talk: Exploring the Canine Mind

If Dogs Could Talk: Exploring the Canine Mind