お便りから(経済演習書あれこれ)


 韓流映画ブログの方にコメントいただきましたのでこちらでお答えします。

 :はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。僕は開発経済学を学びたいと思っている大学一年生です。

しかし学部が外国語学部なので経済の授業が少なく独学しようと思っています。マクロ経済とミクロ経済の授業はとりますが。

もしよろしければお勧めの初級演習本を教えていただけないでしょうか。:


 経済思想史をやっている人間は大胆にいうと、「異端の経済学」(シュンペーター学含む)かあるいは「開発経済学」系の話題のいずれかあるいは両方に興味を持つ傾向があるように思えます。僕もその傾向にあるようで、性向的に後者の話題を好む感じです。というわけでいただいたコメントにも喜んでお答えしたいと思います。


 できるだけ開発経済学に親和的なものがいいと思います。アマゾンレビューとかみると古いとかいう評価がありますが、1冊でミクロ・マクロとそれ以外の政策トピックスをまとめてやれるという点で以下の演習書が個人的に好きです。

完全マスター ゼミナール経済学入門

完全マスター ゼミナール経済学入門


 演習書をいつまでもやる必要はまったくないでしょうが、それでもまだまだやりたい人向けに以下も追記しておきます。個人的には経済理論の演習書は上の1冊で十分だと思いますよ。
 

 まずローレンス・W.マーチンのスティグリッツのテキスト(スティグリッツのテキストは版を重ねるごとに劣化している印象)に対応した三冊の問題集もかなりやりごたえがありますね。いまは絶版ですが。

スタディガイドスティグリッツミクロ経済学

スタディガイドスティグリッツミクロ経済学


 それとミクロ経済学では西條先生たちの『入門ミクロ経済学』に対応した問題集、マクロでは大竹文雄先生の『入門マクロ経済学』対応の問題集、そして開発経済学でも最近はゲーム理論の話題が頻繁に登場するので船木先生の『演習ゲーム理論』もいいですね。

演習ゲーム理論 (演習新経済学ライブラリ)

演習ゲーム理論 (演習新経済学ライブラリ)


 いま現在、はてなからのアマゾンの検索が混雑ばかりでつながらないので上のリンクはそのうち追記します。


 こんな感じでとりあえず

新入生の皆さんえ。裏経済セミナー2008「不謹慎な経済学ガイダンス」


 なんでも『経済セミナー』が元気がないという。いや、本当に元気がないかどうかは知らないが、策謀渦巻く(笑)匿名掲示板での噂レベルで見聞した。確かに一時期に比べると印象度が薄れた感はある。私は学生のときな勉強で、そして研究者に加えて物書きを始めた初期には寄稿先として、同誌には非常にお世話になった。そのためそのような風評を見るとかなり残念であり、また同誌のいまの実態を表しているとはまったく思われない。


 とはいえ今回の4月号をみると飯田さんや岡田さん中村さん佐藤さん佐々木先生まで加わりまるで知り合いのオンパレードなのだが、いまいちみんなまじめである。著者らの誠実な人柄ゆえであろうが、手堅く行くものだけが揃いすぎている。そこで『経済セミナー』4月号を補うべく(補わなくていいという意見もあるが今日はいまのところこれしかネタがないので 笑)、ネタノミストとして新入生のみんなに裏経済セミナー風のネタをお送りする。今年に入って思うままに書いてきた最新エントリーの中から経済学の基本にそったエントリーを10個+1選び出した。経済学はなんとも楽しいものだ、なんでもありなんだ、ということをわかっていただければ幸いである。


 なお題材はどうあれ、すべてまじめな経済学を援用したものとなっている。これと合わせて『経済セミナー』を読まれれば経済学のネタとしての広さを実感するであろう。このエントリーを読み、「また、うんこの話かよorz」とと思われた風光明媚に欠けるむきも、「なんだよ、田中も経済セミナーに連載もちたいとか思ってるんじゃね、プゲラ」などと余計な邪推をして自らの脳細胞の欠乏を表明するものも、ぜひこのエントリー読破後、『経済セミナー』四月号を読まれたい。きっと役立つ情報が凡百の特定ブログよりもあるだろう。間違ってもどこかの勘違いが編集したわざわざダメな議論をおしゃべりするド素人「だけ」を選んだ日本経済入門のローマ人の名前がついた某誌特集よりは格段にましである。


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マンキューの経済学の10大原理で学ぶ不謹慎な経済学ガイダンス


1 人々はトレードオフ(相反する関係)に直面する
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080201#p3毒餃子自給率
安全と利益のトレードオフなどを考えよう。


2 あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080228#p2(山形のアクティビティMの経済学)→MのためにLoveを放棄する人々の行動を考えよう


3 合理的な人々は限界的な部分で考える
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080401#p1(ウンコの経済学4.1vers)
 合理的な人は排便努力賃金(効率的排便)を限界的な部分として選択するが、それが社会的には必ずしも効率的ではないという謎にせまる。


4 人々はさまざまなインセンティヴ(誘因)に反応する
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080117#p1AKB48の経済学)
 アイドルの発言から女性の意外なインセンティヴを学ぼう


5 交易(取引)はすべての人々をより豊かにする
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080322#p3ガチャピン日銀総裁論)
 ガチャピンが武藤前副総裁よりも日銀総裁にふさわしい可能性を学ぼう

6 通常、市場は経済活動を組織する良策である
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080306#p2モーニング娘。の経済学Ⅱ)
 良策と良策ではないケースを学ぼう


7 政府は市場のもたらす成果を改善できることもある
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080307#p6ネットイナゴを殲滅するのは正しいか)
 ネットイナゴを完全に規制するのは必ずしもいいことではない


8 一国の生活水準は、財サービスの生産能力に依存している
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080312#p1(テロと妻・愛人の話再説)
 拙著『不謹慎な経済学』より。テロリスト誕生は一国の生活水準とかとどう関係するのか、妻と愛人という「サービス」はどう不謹慎な夫の生活に関わるのか、不謹慎に補強。

9 政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する
 ネットではまだ書いてない。すまそ。『不謹慎な経済学』の第14章参照


10 社会は、インフレ率と失業率の短期的なトレードオフに直面している
 かの嫌韓流の本家、晋遊舎の新雑誌(近刊)に韓リフとして殴りこんで寄稿した「アルファブロガーの経済学」参照

 最後にマンキューの経済学原理を「違った角度」からみてみよう:http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080325#p1