月曜の『週刊東洋経済』

 河合香織氏の『誘拐逃避行』をナボコフ『ロリータ』と少しからめて書評しました。ご一読いただければ幸いです。


誘拐逃避行―少女沖縄「連れ去り」事件

誘拐逃避行―少女沖縄「連れ去り」事件

就職用図書リスト


 水曜に体調が悪いのに無理して大学にいき講義した就職直前対策用の話でも援用したいくつかの著作。このブログも学生が多くみているようなので、いままでも何度かとり上げているけれども時期的にもふさわしいので再掲載。最初の二作はこの種の就職全体、面接全体をともかく読書レベルでとりあえず見ておくという人向き。それ以上でも以下でもない。最後の著作の最終章は『就職四季報』の読み方だけれども、それを越えて企業研究や面接対策としても応用度が高いおススメ本。ただし品切れ(笑)。よく思うけれども就職本でいいものはあまり売れてたり評判ではなく、駄本としか思えないものが書店でスペースを占めているのか、前々から不思議に思っているわけだけれども。

面接力 (文春新書)

面接力 (文春新書)

逆面接―質問するから騙される

逆面接―質問するから騙される

この最後の本にはたまに批判的な人がいる。理由は「よそさまを批判すること自体が嫌い」というまあよくある(僕もいまでも経験中なw)反応が大半である。特に前半の就活本への評価にそのような反応を招く一因があるようだ。まあ、バカげたリアクションだが、同じふうなものを書いた経験からいうとこの種の「本音」が継続して出るのはなかなか日本のような風土では困難かもしれない。どちらにせよ、就職本の大半がクソ本なのに比較すれば上にあげた三冊は読むに十分値する。


 ところでやはり無理はもう年齢的にも禁物かなあ、とか思う。やはり無理せずに自宅で療養してればよかった。ここ数日は気分すぐれず。風邪が流行っているので皆さんもご自愛ください

『経済学史研究』第49巻第1号全文公開開始


 http://society.cpm.ehime-u.ac.jp/shet/annals/het47-50/het47-50j.html


 新刊がでるごとに前号の全文がネット公開されます。今回は49巻1号について。ただまだファイルの準備が完全ではないので準備できしだい順次公開とのこと。


 この号では岡田章氏のゲーム理論の展望、Muriel Dal-Pont Legrand and Harald Hagemann、藤田、上宮論文が個人的に関心がありました。わりと個人的には読みどころ多くて嬉しい巻。

毒餃子と食料自給率?


 この話題には何にも関心がなくスルーしていたらいま車で聞いてたJ-WAVEのDJやリスナーの意見が、毒餃子問題→日本の食糧自給率が低いのが問題、というどう考えても論理の飛躍以外なにもない意見が大手を振っているのをみて苦笑してしまいました。


 実は食料安保論というのは広汎な支持を受けているんですよね。ある意味でリフレ政策への偏見よりも説得するのが手ごわい。これは日本人だけではなくたぶん外国でも共通するマインドではないか、と推察しています。


 以下はすでにエントリーしたものの再掲載

■[経済]食料安保論・食料自給論への批判(若田部昌澄・飯田泰之

『Voice』1月号の若田部昌澄さんの論説「農家保護が国を滅ぼす」が掲載されてます。これはいわゆる食料安全保障論を理由に、農家への補助金を要求する政治家の主張への批判というものです。



 食料安保論については、飯田泰之さんの『ダメな議論』でも批判的に検討されてまして、今回の若田部論説とともに参考になります。



 お二人とも食糧安保論の論拠である世界的な食料不足での価格上昇リスク(があるので農家保護せよ、食料自給率上昇せよ論)には、若田部さんは日本が高所得国であるかぎり問題ではない。飯田さんは農産物価格上昇は自由化をしていればむしろ農業部門の発展に寄与する、と基本的に問題視していません。



 さらに農産物の輸出国が日本への輸出を禁止するケース。飯田さんはそもそもこんなケースは戦争状態以外ありえず、それ以外では輸出国にとって日本への輸出は利益になるので行っているのでこの種の禁輸は杞憂である、としています。若田部さんもこの種の政治的危機は国際市場メカニズムが有効であるかぎり、一国だけが禁輸措置をしても大きい問題ではない、といっております。



 共通する見方は、部分を強調して全体をみない(一国からの政治的リスクをみて国際市場の存在を無視するなど)こと、また自由貿易体制とか規制緩和の軽視することなどが、食料安保論の問題点である、とするところでしょうか。



 「日本が本気で食料安全保障をめざすならば、必要なのは食料自給率の引き上げではなく、世界においてよき顧客としての評判を確立することである」とレトリック豊かに若田部論説は書いていますがまさにそうでしょうね。


ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

facta、グッジョブ

http://facta.co.jp/blog/archives/20080201000613.html

 世間でよく参考にされているにもかかわらず、時間の無駄なので見てないブログに本石町日記と特定ブログ(コードネーム相関列島)があるけれども、これは阿部氏もストレートに前者を批判しましたね。

ところで本石町日記はさておき、その阿部氏の書かれた


:さて、1月31日の毎日新聞は、早々と日銀の次期総裁に武藤副総裁昇格と打った。財務省OBの武藤氏に難色を示していた民主党が、暫定税率のつなぎ法案とり下げで腰砕けになり、日銀総裁人事でも強硬な反対論は唱えないだろうとみたのだろう。これはちょっと早漏れかな。:


の「早漏れ」が妙に僕もひっかかているのです。床屋政談100%増量でいけば、確実に武藤副総裁はなんらかの緩和政策を飲んでいるのは明白なので、それを嫌う方向からの「早漏れ」かなあ、と。

しかしこの記事は、久しぶりに反骨精神を見たなあ。

埋蔵金の正しい償却法


 知人の方に教えていただいたニュース。やはり日銀保有国債償却はまずいでしょう。

埋蔵金」で市中の国債償還を=自民・中川元幹事長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000102-jij-pol
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-31X836.html

 yahooもgooもリンク先が切れる可能性が大きいですが、余剰積立金約10兆円を日銀保有国債償却にあてるとデフレ圧力になるので、市中の国債償却にあてるべきだ、という話。