青木昌彦の文科省行政批判を振り返る


 昨日のエントリーのコメント欄の後半を参照のこと。今般の高校未履修問題文科省の行政の失敗が原因であることは明らかだと思います。それを具体的に考察する前段階で、僕は以前からここ数年間最も「産業政策」(=この場合は政府部門による無意味ないし有害な資源の再分配の実行やその指導及びルール化などを意味しときます)的な施策を実施してきたのが文科省だと思っています。この点を正面から批判したのは、記憶にあるかぎりでは中条潮先生と青木昌彦氏ぐらいだと思います。他には佐々木宏夫先生たちの活動(http://www.f.waseda.jp/hsasaki/resource.htmlの下にある棚村先生の論説などを参照)がやはり注目されるでしょう。


 で、中条先生の書いたものは最近処分しちゃったので 爆 とりあえず手元にある青木氏の『移りゆくこの十年動かぬ視点』の大学改革に関する記述をご紹介。
 

 


 2001年のいわゆる「遠山プラン」の批判=「国公私「トップ30」を世界最高水準に育成するといった、過去の教育社会主義的なやり方を反映した主張も含まれている。私は、高度成長時代の産業政策のようなこうしたやり方はもうやめるべきだと思う」(同書311)。


 大学行政の規制緩和として


 1 学科設置や教官人事契約の基本を学部長に委任。雇用条件の一律化の廃止
 2 教授は教育・研究に専念し、大学管理と切り離すこと。教授会では人事、カリキュラムのも話題にしているという米国の事情の紹介
 3 アドミッション・オフィスの設置


を青木氏は2001年〜02年の段階で主張していた。国公立大の独立行政法人化がすすんでいるが、僕は地方私大の教官ですからバイアスはいるでしょうが、1も2も実現からはほど遠いでしょうね。ちなみに私学では1については学部長など人事権は次第に理事会そのほかに移行しているのが大勢では? 2は企業訪問、学校訪問など多様な「営業」活動をしている私大が大半では? 3は日本的アドミッション・オフィス=事実上試験の割引入学 の経路になってしまって、米国とは違うのが実情では? とりあえず青木氏の提言は国公立大を主眼にいれているけれども、事実上、多くの私学は国公立の動向を考慮いれて、すなわち文科省の顔色みて動いているので、青木氏の提言は私学にも適用できる。

 パリス・ヒルトンの経済学


 おお!、待望のこれがついに日本版で見れるのか。実は『最後の「冬ソナ」論』の次に何かへんなの(?!)書けたら、パリス・ヒルトン中心に何か書きたいな、と思っていたのですよ(脳内妄想レベル)。


 ちなみにパリス・ヒルトンのファンでもなんでもありません。キッパリ。ただの知的好奇心からですわ。実は下のコーエンの本を読んで、日本でこのコーエン理論?が該当する人は「いない」ことが判明しました。というわけでパリス・ヒルトンの経済学(w)がいま個人的に熱い。いや、暑苦しいw


What Price Fame?

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