Comic Nose

バスティアン・ヴィヴェス『塩素の味』

個人的にフランスのコミック(バンドデシネ)の中で最も好きな作品のひとつの翻訳がついに! こんな素晴らしい作品は世界にもめったにない。ぜひ一読を!塩素の味 (ShoPro Books)作者: バスティアン・ヴィヴェス,原正人出版社/メーカー: 小学館集英社プロダ…

アシュレイ・ウッド(画)&クリス・リアル(原作)『ゾンビvsロボット』(金原瑞人訳)

金原さんから頂戴しました。ありがとうございます。なかなか読む時間がとれなかったのですが、ゾンビ大好き人間として正座していま読破しました。人類滅亡後のさらなる滅亡を描いたスピード感と破滅感たっぷりの秀作です。これ続編がでるんですよね? 人類が…

『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』

日本で最初のバンド・デシネの入門的ガイド。僕もBD通32人が選ぶアンケート調査というのに協力して、実に穏当なものを選択したw。エロ全開でいってもよかったといまは反省しているw はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド (玄光社MOOK)作者: 原正…

映画『遥かな町へ』

谷口ジロー原作をフランス映画で。原作も佳作だが、本編もいい雰囲気の作品。最後の作者のちょい出も面白い 笑。 見ていて心地いい映画。世代的には僕より相当上の話だが、時代の雰囲気も出ていたと思う(よその国だけどどの国もなんか似てるんだなあ、と 笑…

『ユーロマンガ』第8号

名作『ムチャチョ』のエマニュエル・ルパージュの力作『悪なき大地』を冒頭に収録し、今回もハイ・クオリティな作品を多く掲載しています。まもなくバンド・デシネの日本で最初の特集本も出るようですが、そこでも僕は本雑誌の意義を強調するコメントを寄せ…

『三角星』第二号「特集 中村明日美子」

川原和子さんから頂戴しました。ありがとうございます。川原さんの中村明日美子作品のエッセイ「メガネ男子とお父さん、そして力士とかわいい女の子」など、中村作品を論じる本格論文から軽いエッセイ、詳細な作品目録、トリビュートマンガまで内容豊富です…

ニコ・ニコルソン『ナガサレール イエタテール』

2011年3月11日、宮城県の海岸沿いにある実家が津波によって流され、奇跡的に助かった母親と祖母と三人で、自宅の再建を達成するまでの日々を描いたマンガだ。編集から頂戴したが、この作品をまず読めたことが嬉しい。どうもありがとうございます。 祖母は老…

ホドロフスキー&ヒメナス『メタ・バロン一族』下巻

上巻につづき、ホドロフスキーとヒメナスの奇想と奇画の組み合わせが炸裂している本編。そんなにしらみが好きなのか? とかそのトラウマを探りたい気もしますが(笑。メカと人間の肉弾戦?も本作のモチーフにあるんでしょうか? わかりません(笑。 途中なん…

『スーパーマン レッド・サン』

確かこの翻訳をリクエストした記憶が(笑)。原作を読んでたんだけど、やはり手軽な邦訳がでると嬉しい。スーパーマンがソ連のヒーローになったらどうなるか、という別設定物。なんだかんだでスーパーマンは人命尊重のヒーローだが、思想統制や中央集権的な…

シルヴァン・ショメ(作)&ニコラ・ド・クレシー(画)『レオン・ラ・カム』

原正人さんから頂戴する。ありがとうございます。日本語に訳すと『麻薬のレオン』。100歳になる老人が大企業を経営する一族のもとに30年ぶりに戻ってくる。この老人は、この企業の礎をつくるとともに、昔は麻薬の売人だった過去があるみたいだ。そしてこの老…

『ユーロマンガ』第七号

一年ぶりに出た日本でのただひとつの本格的なフランスマンガ(BD:バンドデシネ)の雑誌『ユーロマンガ』。 今回は先ごろ急逝したメビウスを追悼する特集が冒頭に。メビウスの代表作である「猫の目」がまず収録。この作品は大好き。余計なものをそぎ落とした…

ニコラ・ド・クレシー 『サルヴァトール』

ニコラ・ド・クレシーの世界半周、愛の旅路を描くグロテスク、文明への皮肉、情感などがごちゃまぜの一匹の犬?人間の成長物語といえるもの。まだ未完なのだが、ニコラ・ド・クレシー のすべての作品と同じく読みやすく、緻密な書き込みにもかかわらず、どん…

アレハンドロ・ホドロフスキー&フアン・ヒメネス『メタ・バロンの一族』上

これは面白い。自らの身体を傷つけることで宇宙一の残忍な戦士として通過儀礼を行うメタ・バロン一族の歴史を描くスペースオペラ。その奇想と活劇の描写は、本当にフランスの漫画はレベルが高いなあ、とうならせるものがある。下巻は秋に刊行予定だが、この…

グラント・モリソン作『バットマン:R.I.P』『バットマン・アンド・サン』『バットマン:ラーズ・アル・グールの復活』『バットマン:ブラックグローブ』

モリソンという人はバットマンシリーズをその起源(バットマンの父親の歴史も含めて)から大胆に再構成し、それを現代の読者に一望できる「神話」体系として提示している。映画でのバットマンシリーズ(『ダークナイト』など)と並ぶ、バットマンの暗黒神話…

マルジャン・サトラピ『鶏のプラム煮』

このブログで以前紹介した同じサトラピの『ペルセポリス』は通常のBD(フランスマンガ)の枠を超えて多くの読者を獲得した。今回訳された作品は、『ペルセポリス』同様に、彼女の一族の歴史を語るものである。『ペルセポリス』とはまったく違う味わいながら…

マルク=アントワーヌ・マチュー『3秒』

三秒間におきた世界を多元的な視線で描く。しかも三秒なのにちゃんと物語が存在しているw 誰でもが夢想するけどなかなかここまで徹底的に描くことはできない不思議な世界。でも描かれているのはめっちゃハードボイルドw。面白い試み。関連エントリー マル…

グラント・モリソン『WE3』

犬、猫、うさぎの生物兵器の殺戮と逃亡、そして人間たちのエゴ。シンプルにダークに描いた佳作。WE3 ウィースリー (ShoPro Books)作者: グラント・モリソン,フランク・クワイトリー,堺三保出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション発売日: 2012/01/31…

ミシェル・オンフレ&マクシミリアン・ル・ロワ『ニーチェ 自由を求めた生涯』(國分功一郎訳)

いわゆるバンドデシネ(フランスのマンガ)の一冊。ちくま学芸文庫で出たもの。オールカラーで美しいのだが、内容的にはなんかアフォリズム的というよりも、単なる散漫な失敗作。國分氏の解説の「競争」感も正直あまりにも一面的(少なくとも猪木武徳氏の『…

ロバート・カークマン『マーベルゾンビーズ』

スパイダーマン、キャプテン・アメリカ、ハルクたちが、正義の仮面を脱ぎ捨てて、零れ落ちそうな脳味噌やちぎれそうな肉体を駆使して、人類を食いまくり、さらにヒーロー同士で食物連鎖www このはじけっぷりは超おススメ。マーベルゾンビーズ (MARVEL)作…

リー・ベルメホ『バットマン:ノエル』

バットマンがスクルージに。ディケンズの『クリスマス・キャロル』風の地獄おとぎ話風バットマン。クリスマスの夜には最適(嘘)。ベルメホが最後に書いているように、キャットウーマンの造形がステキ。バットマン:ノエル作者: リー・ベルメホ,高木亮出版社…

ブノワ・ペータース&フランソワ・スクイテン『闇の国々』

献本うけてかなり経ってしまいましたが、ようやく時間ができて読破できました。まずはこのような世界のマンガ史に残る作品を堂々とした分量と装丁で出していただけた版元に感謝したいですね。 作品的にも素晴らしいセレクションだと思います。都市をめぐる思…

最近読んだマンガ2011その4

今年も最後の最近読んだマンガ2011ですが、最近もっともよかったのは、やはりエンキ・ビラルの『モンスター』(完全版)。これだけ重厚感と芸術性にあふれたコミックもないでしょうね。いま「芸術性」とか書いたけど、それがまさに「芸術」をSF風味に素材に…

最近読んだマンガ2011その3

最近読んだマンガその3です。とても迫力があり、その世界観でも他を圧倒していたのが、『ウォーキング・デッド』。ゾンビもののマンガとしては、その日本風のツイストが加わった『アイアムアヒーロー』と並んで高水準ものですね。テレビドラマ版とは異なる…

最近読んだマンガ2011その2

先日の「最近読んだマンガ2011その1」の続き。 もし現在、精力的に作品を作成し、なおかつ人の世界観にまで影響を与えることのできるマンガ家の筆頭として、僕はよしながふみ氏をあげる。『大奥』はもちろんそんな世界観に影響を与えることをもくろんだとも…

最近読んだマンガ2011その1

毎年、この種のエントリーやってるのだけど、個人的には去年の骨折以来、マンガを読む余裕を失うw。さらに今年も東日本大震災や日本経済の再失速でやはりマンガが吹っ飛んでしまった。まあ、マンガを読む時間がないかわりにアニメやアメコミ、BDはよく読ん…

メビウス『エデナの世界』

訳者の原正人さんから頂戴しました。どうもありがとうございます。この作品は、メビウスの代表作とされる『アンカル』などよりも僕ははるかに好きなものです。ゲンジツの多層化(作品内の夢と現実の多層的世界の構築)、登場人物の頻繁なメタモルフォーゼ、…

『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』

献本いただきました。ありがとうございます。このブログでも紹介しましたように、先日、増田悦佐氏と初めて会ってすぐに経済問題では失望&論争というジェットコースターだったんですが(サブカル関係はさすがに発言ゼロなのが残念)、もう一方の増田論争の…

発売中の女性マンガ誌『KISS』19号 で『震災恐慌!』

発売中の女性マンガ誌『KISS』19号 (講談社)の「男のコの本棚」欄で、森永卓郎さんが、上念司さんとの共著『震災恐慌!』をおすすめ本としてご紹介いただいてます。ありがとうございます。この雑誌に森永さんが登場されているとは。さすが守備範囲広い。…

ヴィンシュルス『ピノキオ』

これは怪作w かつ 名作w。ちゃんとみんなが知ってるピノキオのお話をできるだけ汚物だめに漬け込んだどす黒いファンタジー。分厚い作品だが、一挙に読める。ピノキオ (ShoPro Books)作者: ヴィンシュルス,原正人出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクショ…

『カウボーイ&エイリアン』

映画の原作。なかなか快調なテンポのアメコミ。続編読みたい。宇宙異種間恋愛?つきストーリーカウボーイ&エイリアン (ShoPro Books)作者: スコット・ミッチェル・ローゼンバーグ,フレッド・ヴァン・レンテ&アンドリュー・フォーリー,ルシアーノ・リマ,柏…