書評

古谷経衡『日本を蝕む「極論」の正体』(新潮新書)

古谷さんの新刊は、「外部から監視や点検がなく、競争のない閉鎖的な空間」に住む人たちの言論で、「極論」となるいくつかのケースを批判的に検証したものです。 要するに日本的なムラ社会の「論理」を丁寧に論評していくもので、取り上げられた話題とそれへ…

岩田温『「リベラル」という病』(彩図社)

岩田温さんから頂戴しました。感謝です。すでにSNSでも書いたのですが、岩田さんの教養を重んじる姿勢が鮮明に出ていて、その意味で本書でいう自称「リベラル」たちの反知性主義とは真逆の良書です。 個人の自由を最大限尊重し、社会的弱者の声に耳を傾け、…

栗原裕一郎&豊崎由美『石原慎太郎を読んでみた』(入門編)

懐かしい企画がおしゃれな表紙の文庫本になって再登場。個人的にはオリジナルの単行本もカバーや装丁が好きだったが、これもなかなかいい。 入門編はオリジナルからいくつかの章を省いて、同時に石原慎太郎との対談や『天才』をめぐる章を加えた、より初心者…

速水健朗『ラーメンと愛国』

さきほど、著者の速水さんと対談をしてきたばかりですが(近日、この対談シリーズとして公開予定)、この『ラーメンと愛国』は日本的な光景として誰もが認識していながら誰もあまり本気で分析してこなかった現象をとりあげるという、速水さんの手法がきわめ…

勝間和代『まじめの罠』

本の帯に「三か月で100点取る人、二日で80点取る人、どちらを評価しますか」とある。この質問は、いいかえると、最初の二日で80点とれても、残り三か月近くで20点をアップすることがとても苦労がいる(=コストがかかる)ということだと見方を変えることがで…

岩田規久男『世界同時不況』

岩田先生から献本いただきました。どうもありがとうございます。前著『金融危機の経済学』と併読することで、今回の世界金融危機から世界同時不況への展望と、それに対する処方箋についての示唆が豊富に得られます。特に今回の著作は、昭和恐慌、世界大恐慌…

芹沢一也『暴走するセキュリティ』

芹沢氏の本はここ数年、新刊が出るたびに毎回買っている。その一方で、『論座』はよほどのことがないと読んでなかったので、本書が連載されていたときも当然に未見であった。本書を日曜の昼間に読んでいて、思わず、あれ、と声を出してしまった。僕の昔の著…