経済問題を最小の時間で、でも基礎学力をつけながら学んでいくにはどうしたらいいのか?
1)いいテキスト 2)いい教師(授業、講演などでの出会い)、3)適切な時間配分 4)無理しない
これらのバランスが必要でしょう。ここでは主に1)の「いいテキスト」を紹介していきます。上から下にいくほどレベルアップ。
なんといっても小学生でも読める(でも大人が読んでも面白い)以下の二冊がやはり最も簡単な経済書の地位をいまだにキープしているでしょう。『レモン』の方は経済学の要の市場(しじょう、マーケット)のメカニズムを、『続レモン』は若干レベルアップしててインフレのメカニズムの解説になっています。
さてこの二冊を終えて、次は本ではないけど、このビデオをみよう。経済学の最前線の話題がきっちり解説していてしかも面白い。経済学が行動動機(インセンティブ)を扱う学問だということがよくわかる構成になっている。
さて経済学には理論と実証がある。前者は現実を簡単に説明するためのお話。後者はその理論が本当に現実を説明できるかを確かめるためのものだ。前者はさらにミクロ経済学、マクロ経済学にわかれる。ミクロは小さいというギリシャ語からきていて、これは個々人の行動、企業の行動などを扱う。マクロは大きいというギリシャ語からきている。こちらは経済全体の話題。景気や経済成長、物価や失業などを扱う。国際的な話題はミクロにもマクロにもある。為替レート、貿易などの話題だ。実証は、主に統計学やさらにそれを踏まえた計量経済学という学問がある。さらに経済学は多くの日本人には大敵?の数学を駆使している。このブックガイドでも今回は少し経済数学の入門書も紹介したい。
まず経済学や経済全体をざっくりと展望するのなら、以下の5冊を手元においておくと便利だ。昔のブックガイドでは、池上さんのNHK時代の本を推薦したものだがw、この五冊それにとって代わる。
経済学の難しさは、自然科学とは違って定説がなく、いまだにいくつかの学説の論争状態が続いていることだ。さらに経済学の全貌を把握するには、歴史的手法が便利だ。この種のアプローチが苦手な人は一気にミクロ、マクロ、計量経済学のコーナーにすすんでほしい。
まずお勧めの二冊は以下。ナイアル・キシテイニーの著作はどれも素晴らしいがこれが決定版。血も涙も理性もある経済学がなぜ生まれたのかその背景も理解できる。
代替的な経済学が一望でき、さらに世界経済の概観もできる次の一冊もお勧め。
個人的にはこの入門書も大好きで、特に貧しい国と豊かな国の対比がよくわかる。
ナイアル・キシテイニーの辞書的な使い方もできる二冊。金銭的にゆとりがあるならぜひ手元で眺めるのをお勧めする。
さてミクロ経済学の入門書としては次の二冊がお手頃な価格でおすすめできる。
以下の本はミクロ、マクロ、計量が一体となっているけど、とりあえずミクロだけでも読むと吉。
飯田さんの次の二冊は高校生でも気軽に読める。特にミクロというわけではないけれども経済学につかれてきたら一服的に読もう。時事的な話も豊富で面白い。
本格的なミクロ経済学の入門的な勉強には以下の二冊を進めたい。
そして日本の時事的なテーマにつながる発想を備えた以下の本もお勧め。
最近の経済学はゲーム理論を理解しないとまったく先にすすめなくなっている。その意味で以下の本は欠かせない。
マクロ経済学については、この本が超お勧めだ。わかりやすさと歯ごたえと時事的な話題お豊富である。ここ二年程、マクロ経済学の入門コースで教材にしているが教えやすい。
さらに経済学初心者でもすぐに読めるマクロ経済学の本格的な入門書は、テキストとして利用してきた経験から以下を推薦。歯ごたえとわかりやすさ必要十分。
さて統計、計量経済学だが、先の飯田『経済学講義』にもふれられているが、それ以上にためになるしかも最前線の統計学や計量経済学の話にふれている入門的読み物として次の二冊がおすすめ。
最後は経済数学。これについてはこれまた教えてきた経験からいうと次の本がなんといってもいい。この本を読めば上記の経済学の理解もよりすすむ。たぶん時事的な関心で経済の話題を考える人はこの一冊で必要十分でしょう。
もしさらにすすみたいなら以下の定番もお忘れなく。
最後に現代の経済問題は政策の在り方をめぐって議論されている。特に緊縮主義とその逆の景気刺激的な見解との対立は根深い。ここらへんの論点を後者の立場からみた「反緊縮」5部作をあげたい。
あと最新の経済書も二冊。経済学の最前線の話題にもつながる。